電動車の4割を占めるトヨタ

技術の具体的内容について理解するのは難しい。それでも、バッテリー、PCU、モーターが目覚ましい進化を遂げたことは伝わってくる。小型化、軽量化、低損失化などで性能が向上し、コストダウンも実現した。地道な技術開発を積み重ね、トータルで飛躍的に商品力がアップしたのだ。ハイブリッド技術はプリウスからほかの車種にも広げられ、トヨタはあらゆるカテゴリーにハイブリッドカーをラインナップしている。

歴代プリウスの技術的進化について説明を受けたわけだが、趣旨は「電動化要素技術開発の取り組みに関するご説明」だったはずだ。渡された資料のタイトルも、「トヨタの車両電動化技術」である。話がプリウスに終止するのでは羊頭狗肉(ようとうくにく)ではないか、と考えてはいけない。サブタイトルには、「20年にわたり培ってきた実績」と記されている。プリウス開発の歴史は、そのまま電動化技術開発の歴史だと言いたいのだ。

個別説明に先立って、パワートレーンカンパニー常務理事の安部静生氏から基調報告があった。電動車両市場におけるトヨタの実績を、具体的な数字を示して説明する。ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)を合わせた電動車両市場で、2016年におけるトヨタのシェアは43%だという。20年間で1100万台以上の車両を販売し、削減したCO2は8500万t以上。うち7700万tがHVによるものだ。

トヨタは、HVでは圧倒的な実績を残している。ヨーロッパや中国はとても追いつけないと考えたから、EV優遇政策を推進して逆転を狙っているわけだ。一人勝ちが招いた皮肉な結果である。PHVやFCVでも同社は着実な成果をおさめてきた。長期的な目標として定めたのが、「2050年新車CO2ゼロチャレンジ」である。2010年比でCO2を90%削減することを目指す。そのために全種類の電動化車両を開発するというのがトヨタの方針なのだ。
 
阿部氏は、バッテリー、PCU、モーター/トランスアクスルという3つの要素技術はすべての電動化車両に共通だと話した。充電対応技術と合わせればPHVとEVになるし、FCスタックと水素タンクを追加すればFCVになる。ベースとなる技術を20年間育ててきたのだから、アドバンテージがあるのは当然だ。阿部氏は「半歩でも優位にあるのではないか」と控えめに語ったが、本音ではもっと自信があるに違いない。

バッテリーに関しては、少し慎重な姿勢を示した。基幹技術を手の内化するのがトヨタの強みになってきたが、バッテリーは日本全体で研究開発を進めるべきだと言う。国単位の競争になっているという認識なのだろう。マツダやデンソーと新しい会社を立ち上げたのは、その考えに沿ったアクションだ。

2代目「プリウスPHV」の動力伝達を説明する展示。ハイブリッド車の「プリウス」と共通の技術が使われているが、より多くのバッテリーを積み、充電に対応している。
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トヨタはエコカーの開発を全方位で進めるが、用途にあわせてモデルのすみ分けを行っている。このうちEVは近距離用と考えられている。
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トヨタのハイブリッド車の販売台数は、2017年1月に1000万台を突破。CO2削減効果は累計で7700万tに達する。
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バッテリー、PCU、モーターの技術は、すべての電動化車両で使われている。
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3つの要素技術で小型化、軽量化、高入出力化を追求。20年で飛躍的に性能が向上した。
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