そうだ、ライドシェアだ!

しかしながら、最も困ったのは交通手段だった。

「最寄り駅まで徒歩30分」は、そのとおりだった。ボクが住むイタリアの観光都市を見ていてもわかるが、アメリカやヨーロッパの旅行者は30分でも1時間でもさほど苦にせず歩く人が多い。旅先のムードを楽しんでいるのだ。日本人ツアーが観光バスで目的地の近くまで乗りつけるのと対照的である。

周囲の住宅街は、一見したところ治安が悪いムードではなかった。だが日本人はなにかと目立つ。見知らぬところを気軽に歩かないほうがいいのは、海外における大原則である。なのに、ロサンゼルスショーのプレスブリーフィングは、早いものは朝8時から始まる。そして、取材終了は遅い。

薄暗い時刻に、クルマ社会のLAで街道沿いを歩くことは避けるべきだ。バスについても、クルマでの移動が主な家主が的確に教えてくれたのはバス停の位置だけで、どこに行く路線がどの程度の頻度で走っているかは、彼はまったく知らなかった。

試しにバス停に立って手を上げてみたものの、急行バスなのであろう、次々と通過していってしまった。

こうなったら頼みの綱は、配車アプリによる「ライドシェア」である。サービスを提供している「Uber」と「Lyft」のうち、ボクは日ごろから欧州で慣れていた前者を使うことにした。

ほかの客と乗り合いになる場合や、その乗車・降車次第で遠回りになる可能性もある代わり、最安値で乗れる「POOL」というプランを駆使した。車両到着までの時間は、長いときは10分近くに及ぶこともあったが、駅周辺をはじめ、客待ちが多いところでは3分もしないうちにやってきた。

乗車したクルマのドライバーたちを振り返ってみる。ショー開幕の前日、最寄り駅であるユニオンステーションまでの乗車をリクエストすると、やってきたのは、先代の「トヨタ・プリウス」だった。

ドライバーは東欧系の若者で、数年前に米国のグリーンカードを取得して、Uber経験は1年半という。その話を聞いてボクも東京時代、グリーンカードの抽選に何度も申し込んだのを思い出した。結局、当たらなかったが。走行距離は約2.7kmで、料金は3.6ドルだった。

これも会場に近いビル。3つのビルの壁面を「iPhone X」が飾る。
これも会場に近いビル。3つのビルの壁面を「iPhone X」が飾る。拡大
ハリウッド大通りにて。ライドシェアサービスのひとつ「Lyft」のサインをダッシュボード上に掲げて走る「トヨタ・カムリ」。
ハリウッド大通りにて。ライドシェアサービスのひとつ「Lyft」のサインをダッシュボード上に掲げて走る「トヨタ・カムリ」。拡大
昨2016年にLAを訪れた際、現行型「プリウス」はそのスタイルが少なからず議論の的となっていたが、今日ではずいぶん見かけるようになった。筆者も同車を使ったUberに1度乗せてもらった。
昨2016年にLAを訪れた際、現行型「プリウス」はそのスタイルが少なからず議論の的となっていたが、今日ではずいぶん見かけるようになった。筆者も同車を使ったUberに1度乗せてもらった。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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