ホンダ・シビックハッチバック(FF/6MT)
見晴らしのいい場所へ行くために 2018.01.16 試乗記 6年ぶりに日本市場に復活した「ホンダ・シビック」。発売後約1カ月間の受注比率で35%を占めたという「ハッチバック」の6段MT仕様は、あるいは今回の復活劇の、陰の主役と言えるかもしれない。高速道路を一路西へ、箱根のワインディングロードを目指した。ホンダの顔が帰ってきた
シビックには“偶数の悲劇”と呼ばれる現象があるそうだ。初代は斬新なスタイルと低公害エンジンのCVCC搭載で世界的な大ヒットとなるが、2代目はキープコンセプトで新味がなく失速。以来、奇数で売れて偶数で苦戦という歴史を刻んできたのだという。その意味では現行モデルは10代目だから悪いめぐり合わせだが、日本ではもうそのジンクスは通用しない。9代目は「タイプR」以外のモデルが販売されなかったからだ。
10代目は北米で2015年に「セダン」、その翌年に「ハッチバック」が発売されていて、日本には遅れての登場となった。だからこそ、自動車ファンの期待がふくらんでいたのだろう。日本での発売決定、プロトタイプの試乗会などのたびにメディアで大きなニュースとなった。自動車好きにとっては、今もシビックはホンダを代表するモデルなのだ。
セダン、ハッチバック、タイプRの3車種がそろうのは久しぶりのこと。「フィット」が登場したことで7代目のハッチバックが売れ行き不振になり、8代目では日本のラインナップから外された。9代目ではセダンも販売されなくなり、系譜が途絶えてしまう。シビックは170以上の国と地域で販売されていて、ホンダ車の4分の1の売り上げを占めるグローバルカーなのだが、日本に限っては過去のクルマというイメージになってしまった。
カタログの冒頭には、シビックがホンダにとっていかに重要なモデルであるかを説明する文章がある。
「このクルマは、初代が誕生した時から、私たちの想いを濃密にのせてきました」
「Hondaの生きざまを象徴し続けてきたクルマ」
「私たちのクルマの中で最も長く大事にしてきた名前」
プライドと意気込みが感じられる言葉である。シビックこそがホンダの顔だと言いたいのだ。