あの頃のレースシーンがよみがえる

次の部屋はこの850とは逆に、日本ではあまり有名にならなかった小型ボルボたちが並んでいた。オランダDAFの設計を継承した「66」と、後継車の「300/400シリーズ」だ。特に1800ES以来のスポーツワゴンとなる「480」は今見ても魅力的に映った。

モータースポーツコーナーもあった。ラリーに挑んだPV544やアマゾンも展示されていたが、筆者の年代にはやはり「空飛ぶレンガ」の異名を取ったツーリングカーレースの「240」、ワゴンでレースに出た「850エステート」などが刺さる。あの頃のレースシーンがそのままよみがえってくる。

ここからはスロープでトラックが並ぶ1階へと下っていく。通路の脇には数々のコンセプトカーが並んでいた。Aピラーの視認性にも配慮した「SCC」など、安全や環境といった難しいテーマをスタイリッシュにまとめる技にたけていることが伝わってきた。

トラック部門は1999年を境に別会社になっているが、ミュージアムは両社が共同で運営しているようだ。バスや軍用車、ボルボペンタというブランド名を持つ船舶用エンジンも手がけており、ボルボ・カーズ以上にスウェーデンを支える存在であることがうかがえる。

こうして見てくると、少なくとも戦後のボルボに関しては、日本でもポピュラーな輸入車であることをあらためて実感した。今まで目にしたことがないようなクルマが並ぶミュージアムもいいけれど、一台一台を通してその時代を思い出すことができるこの空間は、独特の楽しさがある。

事前の申し込みや予約などは不要。一般の方でも見学可能とのことなので、スウェーデンに行く機会がある人は足を伸ばしてみてはいかがだろうか。

(文と写真=森口将之/編集=竹下元太郎)

「480ES」(1985~1995)。ボルボにとって初めての量産FFモデル。
「480ES」(1985~1995)。ボルボにとって初めての量産FFモデル。拡大
モータースポーツコーナーには「PV544」から「850エステート」や「S40」までがそろう。
モータースポーツコーナーには「PV544」から「850エステート」や「S40」までがそろう。拡大
「S40」(左)と「850エステート」(右)のレーシングカー。(写真=ボルボ・カーズ)
「S40」(左)と「850エステート」(右)のレーシングカー。(写真=ボルボ・カーズ)拡大
セーフティーコンセプトカーの「SCC」(2001)。
セーフティーコンセプトカーの「SCC」(2001)。拡大
トラックコーナーには歴代のボルボトラックがずらりと並ぶ。
トラックコーナーには歴代のボルボトラックがずらりと並ぶ。拡大
あなたにおすすめの記事
新着記事