有終の美を飾ったプジョーのしたたかさ

2018年大会に目を向けてみると、四輪のトップカテゴリーマシンはここ10年で大きく変化してきているのがわかる。いまや最速を誇るのは、まるでバギーのような後輪駆動シャシーにディーゼルエンジンを搭載した、プジョーのスペシャルマシンなのである。

2WD車は重量的に有利なうえ、4WD車より大きなタイヤを装着できる。戦略にたけ、レギュレーションに精通したプジョーの面目躍如である。4WDとの差を足し算引き算しながら導き出した速さの答えが「3008DKR Maxi」なのだ。常識的に考えれば、砂の中を走るのには4WDが有利なはずだが、それを覆すだけのマシンが生み出されるのだから“車両規則”というマジックは面白い。

これが最後のダカール挑戦となるプジョーに、今回、唯一肉薄したのが「トヨタ・ハイラックス」である。エンジンをミドシップ搭載した4WDマシンは南アフリカで製作されたもので、こちらは純ワークス体制ではない。これに対し、フルワークスのプジョーは4台のマシンに“パリダカマスター”のステファン・ペテランセル、同じくダカールラリー優勝経験者のシリル・デプレ、WRC(世界ラリー選手権)チャンピオンのセバスチャン・ローブとカルロス・サインツを乗せるという、隙のない体制だった。

また、このイベントの特殊なところはチーム同士で修理を手伝ったりパーツの貸し借りをしたりでき、日程後半になるとチームワークで1台をサポートできる点にある。そのあたりもプジョーは万全で、2位と健闘したトヨタは3台体制と1台少ないだけだったものの、「時として1台が速く走りペースを乱す」といった陽動作戦の融通性を含め、不利は否めなかった。この結果、2018年のダカールラリーはWRC王者のサインツが優勝、プジョーの3連覇という結果に終わった。

ただ、ダカールではWRCで認められているレッキ(事前走行)が無いだけに、目視による全開走行には常に危険が伴う。経験に即した予知と抑えた走りが求められるため、“速すぎる”WRCチャンピオンたちにはなかなか栄冠は訪れない傾向があるのだ。今回の勝者であるサインツにしても、11回出場してこれが2度目の優勝。実に8年ぶりの勝利だった。

市販車の「プジョー3008」とは似ても似つかない形をした「3008DKR Maxi」。現在、ダカールラリーの四輪部門は市販車とはかけ離れた競技専用車で競われている。
市販車の「プジョー3008」とは似ても似つかない形をした「3008DKR Maxi」。現在、ダカールラリーの四輪部門は市販車とはかけ離れた競技専用車で競われている。拡大
ワークス体制での参戦ではないにもかかわらず、大いに善戦したトヨタ陣営。参戦した3台のマシン中、2台が表彰台に上って見せた。
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合計4台のマシンに名うてのドライバーを乗せて2018年のダカールラリーに臨んだチーム・プジョー・トタル。見事3連覇を果たしたものの、2017年大会のように“表彰台独占”とまではいかなかった。
合計4台のマシンに名うてのドライバーを乗せて2018年のダカールラリーに臨んだチーム・プジョー・トタル。見事3連覇を果たしたものの、2017年大会のように“表彰台独占”とまではいかなかった。拡大
WRC王者でも簡単には勝てないのがダカールラリー。決められたコースを走るラリーと、道なき道を行くカントリーレイドでは、求められる技能が違うのかもしれない。
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