この先20年活躍するタクシー

ジャパンタクシーでは、同時並行で開発作したシエンタをベースとしているものの、そのまま利用できる要素は、フロアパンを除いてほぼ見当たらなかったという。

「スライドドアは共用でしょ?」と思われるかもしれないが、世界の多くのタクシーは前ヒンジで開け閉めする“スイングドア”を採用しており、開発時にもその使い勝手を検討したという。とはいえ、最終的には利便性でスライドドアが勝ったとのことだ。なお、シエンタが両側スライドドアを備えるのに対して、ジャパンタクシーは左側のみ。子供の飛び出し防止など安全面を考慮して右側にはドア自体が要らないのではないかという意見すらあったという。

一方、タクシー会社がタクシー専用車両に望むのは、耐久性と燃費の良さだ。主なタクシー車両の燃料であるLPG専用の1.5リッターエンジンとシエンタ用ハイブリッド機構を使ったメリットは大きく、燃費はJC08モードで19.4km/リッターと良好。LPGの価格は、首都圏でリッター当たり90円前後とレギュラーガソリンの約7割におさまる。街中でタクシーが酷使しがちなブレーキについても、ハイブリッド車は機械式ブレーキだけでなくモーターのエネルギー回生ブレーキも使えるため、効きと耐久性が向上したという。

サスペンションは前がマクファーソンストラット式とシエンタと共通ながら、後ろのトーションビーム式はシエンタからリジッドの車軸式3リンクに替えて耐久性を向上させている。考えてみてほしい。ジャパンタクシーの先代といえる「クラウン コンフォート/セダン」は、デビューした1995年から22年もの間生産されてきた。それだけの期間、基本性能を変えずに商品性を維持するには、酷使に耐えうる中身の質実剛健さが欠かせない。「20年はもたせたい」という粥川氏の言葉は、切実な願いに違いない。

左側のスライドドアを開いた様子。後席右側の床下に、ニッケル水素バッテリーモジュールが搭載される。
左側のスライドドアを開いた様子。後席右側の床下に、ニッケル水素バッテリーモジュールが搭載される。拡大
インストゥルメントパネルには、ナビゲーションシステム、タクシー用メーターなどの機材がぎっしり。センターのドライバー側には小物入れが用意されている。
インストゥルメントパネルには、ナビゲーションシステム、タクシー用メーターなどの機材がぎっしり。センターのドライバー側には小物入れが用意されている。拡大
後部の荷室には、大型サイズのスーツケースがきっちり2個積み込める。
後部の荷室には、大型サイズのスーツケースがきっちり2個積み込める。拡大
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