赤富士を思い起こさせるインテリア

というわけで、クロスモーションにおける粋がどこに隠されているかといえば、それは内装ということになるだろう。前後に貫く弓なりの形状が川に架かる橋を思わせるセンターコンソールは、実は組木の本杢(ほんもく)をスライスし、芯材に合わせることで気候変化や経年劣化を考慮したものだ。湾曲液晶を全面に敷いたダッシュボードを支える梁(はり)のような部材も同様に芯材を本杢でラッピングしている。

観音開きの扉を開けて一見するとその紅白のコントラストに目が奪われるが、そのドアトリムの形状を引き目線でみれば、富士の稜線(りょうせん)を思い浮かべる人もいるのではないだろうか。富嶽(ふがく)三十六景の赤富士を思い起こさせるあしらいは、本杢のセンターコンソールとのコントラストも相まって箱庭でも眺めているようだ。

「日本人は自らの文化を開けっ広げに自慢することを、よしとしないところがあります。それが美しさでもあるのですが、はた目にみてもったいないと思うことがあるのも確かです。日本らしい粋をいかに表現していくかは、日本のデザイナーと今後取り組むべき大きな課題になるでしょうね」

アルバイサ氏に言われるまでもなく、日本人は自らのセールスがかなり下手な人種だろうと僕も思う。それでも、以前ならちょっと赤面していたくらいに著しく日本を表現したクロスモーションの内装をみていると、このくらいならアリなんじゃないかと思えてくるのは、それこそ京都に殺到する外国人を目の当たりにした、日本人の遅ればせながらの気付きなのかもしれない。

(文=渡辺敏史/写真=日産自動車/編集=竹下元太郎)

ホイールベースを長く取ると同時に、タイヤを車体の4つのコーナーに配置することにより、4+2のシートレイアウトを採用した。
ホイールベースを長く取ると同時に、タイヤを車体の4つのコーナーに配置することにより、4+2のシートレイアウトを採用した。拡大
インテリアでは、伝統的な日本の要素と未来的テクノロジーの共存を図っているという。
インテリアでは、伝統的な日本の要素と未来的テクノロジーの共存を図っているという。拡大
前後を貫く弓なり形状のセンターコンソールは川に架かる橋を思わせる。
前後を貫く弓なり形状のセンターコンソールは川に架かる橋を思わせる。拡大
シートのバックレストの上部には、組子細工を思わせる装飾が付く。
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