元をたどれば日本発祥の技術

では、3Dプリンターとはいったい何なのか? 簡単に言えば、3次元データをそのまま立体物として出力(プリント)できる機械である。金型や加工などといった既存の製造プロセスを必要とせず、データさえあれば望むものが手に入るというわけだ。以前は試作品の製作など、開発や研究の段階で活躍していたが、近年は設計プロセスのデジタル化に加え、3Dプリンターの事業に多くの企業が参入したことで開発が急速に進み、さまざまな用途で使われるようになった。

意外かもしれないが、3Dプリンターの歴史は1980年に日本人の小玉秀男氏が発明した光造形法に端を発する。ただ、世界初の3Dプリンターを商品化したのは米国のチャック・ハル氏であったため、3Dプリンターはかの地を中心に発展していくことになった。2010年代になると、基礎特許が切れたことで参入メーカーの拡大やマシンの低価格化などが実現。今では個人でも、安価な3Dプリンターを手に入れることも可能となっている。

素材についても、すでに樹脂だけでなく金属にも対応。金属部品の製作には粉末焼結法と呼ばれる工法が用いられており、粉末状の金属にレーザービームを当てて焼結させることで形をつくる。ポルシェの場合は、本来ねずみ鋳鉄製だった959用クラッチレリーズレバーを、粉末状の工具鋼を焼結させることで製造。完全にコピーされたレリーズレバーは、3t近い負荷をかけた圧力試験と、その後の内部欠陥を調べる断層撮影法による検査をクリアしたという。さらにポルシェは、テスト車両による実地試験と徹底的な走行試験も行い、「完璧な品質と機能が確認された」としている。

「ポルシェ959」のフューエルキャップに使用されるガスケット。
「ポルシェ959」のフューエルキャップに使用されるガスケット。拡大
グループBのホモロゲーションを取得するため、わずかな台数が生産された「ポルシェ959」。
グループBのホモロゲーションを取得するため、わずかな台数が生産された「ポルシェ959」。拡大
あなたにおすすめの記事
新着記事