幅広い分野に広がる可能性

このほかにも、3Dプリンターの自動車産業における可能性を示す例として、2018年1月にブガッティが3Dプリンターで製造したチタン製ブレーキキャリパーを発表している。これも粉末焼結法で製造されたもので、その引張強度は1250N/平方ミリメートルと、強固なアルミ合金である超々ジュラルミンの2倍もの引張強度を誇るという。もちろん実装を前提としており、2018年上半期中の車両テスト開始が予告されている。加工の難しいチタンを3Dプリントしてしまうというのは新しい発想といえるだろう。

ただし、3Dプリンターも決して万能でなく、コストと製造時間などを考えると大量生産には不向きであり、すべての部品の製造に3Dプリントの利用が適しているわけでもない。しかしながら、他の製法でも同等の加工費がかかるチタンのような素材をはじめ、“一品もの”や少量生産、設計物の素早い製品化など、有利な面も大きい。

2013年、当時の米国大統領だったオバマ氏に「あらゆるモノづくりに革命をもたらす」とまで言わしめた3Dプリンターには、製造業だけでなく医療や宇宙開発など、さまざまな分野への応用にも大きな期待が集まっている。ただ、われわれクルマ好きが期待するのは、大切なマイカーの欠品パーツを3Dプリンターで自作するという未来の到来だろう。しかしながら、強度や安全性などを考慮すると、メカニカルなパーツについては、ポルシェのようにメーカーによる3Dプリントサービスの普及に期待した方がよさそうだ。

(文=大音安弘/写真=堀田剛資)

最高出力1500psを発生するスーパーカー「ブガッティ・シロン」。
最高出力1500psを発生するスーパーカー「ブガッティ・シロン」。拡大
3Dプリンターで製作されたチタン製ブレーキキャリパー。
3Dプリンターで製作されたチタン製ブレーキキャリパー。拡大
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