マツダは自分がわかってる

ここからは全くの私見だが、おそらくマツダは単純にエコ一本だとハイブリッド勢やダウンサイジング+ターボ勢に負けると踏んでいるんだと思う。それはいろんな走行シチュエーションを含む絶対燃費もそうだし、会社の規模的にもそう。

それと、乗ってつくづく思ったが、やはりスカイアクティブに走ってすぐわかる個性はない。もちろん、今回の「デミオ 13-SKYACTIV」には多少不利な点があって、ベースが既存車種であるがゆえスペース的にすべての技術を投入できず、例えば、4-2-1の排気系の代わりに「クールドEGR」というシステムを入れた。結果、希望どおりの「15%増しのトルク」は得られてない。

従って、今後はさらに開発が進められ、トルクも燃費もいい、スカイアクティブ本来の姿が見られるはずだが、それでもわかりやすいとは言い難い。「いや、俺ならわかる」という人もいるだろうが、それは少数派だろう。つまり、燃費はよくても、それだけでは弱い。
それもあって、「エコ」だけでなく「エコからつながる楽しさ」に持っていこうとしている気がするのだ。しかもそれは、今まで言い続けてきたマツダのZoom-Zoom戦略にも見事つながるし。

俺は今回のデミオを見て、逆に今の自動車産業の厳しさを感じてしまった。ちょっとしたひとつの技術アドバンテージ、具体的にはスカイアクティブ技術をもってしても、それだけでは簡単に勝てないし、生き残れない。長い目でみた場合、もっと自分の血となり肉となる進化を遂げなくてはいけないし、今までの自分の価値観につながり、さらにそれを伸ばすものでなくてはいけない。
ホームランバッターは足が速くなることよりも飛距離を伸ばした方がいいし、アベレージヒッターは、長打を増やすよりもバントヒットを増やした方がいい。

そういう点で今回のガソリンスカイアクティブはよくできてるし、見事だと思った。エコ度が高いだけでなく、それが“踏んで楽しい”“走って楽しい”というマツダらしさにもつながるのだ。
おまけにシンプル構造で得た車重の軽さと140万円という値段の安さは、ラゲッジが広いなど他の魅力を持つライバルに対するアドバンテージにもなるわけで、申し分がない。

つくづくスカイアクティブえらし!
実際、新型デミオは発売後1カ月で予定の倍の1万3500台を受注したという。今後はユーザーから漏れ伝えられる実燃費のウワサ次第で、着実に伸びていくはずだ。
マツダさん、この調子で頑張ってね〜。俺も、自分の個性を考えて頑張りまっせ(vv)

(文=小沢コージ/写真=小沢コージ、webCG)

サイドビュー。14インチのホイールサイズは他の1.3リッターモデルと変わらないが、そのデザインは「13-SKYACTIV」専用となる。
サイドビュー。14インチのホイールサイズは他の1.3リッターモデルと変わらないが、そのデザインは「13-SKYACTIV」専用となる。 拡大
メーターの右端に置かれる、「i-DM(インテリジェント・ドライブ・マスター)」のモニター。「i-DM」は、各種センサーから得られたデータを元に“運転の良しあし”を表示するシステムで、ドライバーにムダやムラのない(=燃費に良くて、同乗者にもやさしい)運転を促す。
メーターの右端に置かれる、「i-DM(インテリジェント・ドライブ・マスター)」のモニター。「i-DM」は、各種センサーから得られたデータを元に“運転の良しあし”を表示するシステムで、ドライバーにムダやムラのない(=燃費に良くて、同乗者にもやさしい)運転を促す。 拡大

第431回:これは走るダイエットフードだ! デミオでわかった「スカイアクティブ」の本質の画像 拡大
小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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