ジュネーブで多くを学んだ

思い起こせば、イタリアに住み始めて7年目の2003年のことだった。当時どこの出版社からも原稿依頼がなかったにもかかわらず、ジュネーブモーターショーをひと目見たくなった。飛行機や列車よりクルマでの交通費が安いとわかったボクは、モンブラントンネルを越えて片道700kmを運転しジュネーブにやってきた。そして、ユースホステルの相部屋から会場に赴いた。

一般公開日にもかかわらず、自身のコンセプトカーについて熱心に説明してくれたのは、前述のスバッロ氏だった。

やがて、新型車を見て「これはヒットするぞ」と直感できるようになった。同時に、賑々(にぎにぎ)しく出展したものの「もう来年は資金難で、二度とお目にかかることはないだろうな」というメーカーも、まるで霊能力者が霊視するごとく分かるようになった。

それはともかく、自動車界に長年籍を置く人々が、ボクのような(彼らからすれば)若者にも気軽に接してくれた。それにより、取材やインタビューのコツを、失敗を繰り返しながらも学べたのは、ほかでもないジュネーブモーターショーであった。

今年、ジウジアーロ氏は80歳。スバッロ氏79歳。彼らがクルマを語るときの目の輝きは、初めてジュネーブで会った頃とまったく変わっていなかった。

まだまだ輝いているショーではないか。そう思い直した筆者であった。

(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也)

スバッロの新作「4×4+2」。
スバッロの新作「4×4+2」。拡大
「4×4+2」のアイコンである「電気駆動スペアタイヤ」を熱く解説するフランコ・スバッロ氏。
「4×4+2」のアイコンである「電気駆動スペアタイヤ」を熱く解説するフランコ・スバッロ氏。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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