始動の瞬間から違いがわかる

走行中にアクセルをオフにしたときに、エンジンを停止して“コースティング”するのもS450の特徴だ。コースティングというと、これまではクラッチを開放することでエンジンブレーキが利かないようにするだけで、そのあいだエンジンはアイドリングを続けていた。その点、S450はエンジンをオフにできるので、燃料消費をさらに抑えることができるというわけだ。

そういう意味では、簡易ハイブリッドと呼べそうだが、モーターだけで走行できないという理由から、メルセデスとしては“ハイブリッド”という言葉は使っていない。なんて潔いのだろう。

48V電源は、ISG以外にもエアコンのコンプレッサーやウオーターポンプの駆動などにも使われ、これにより補器類のベルト駆動が不要になった。エアコンに電動コンプレッサーを使うおかげで、エンジンが停止していてもエアコンが作動し続けるというメリットもある。

さらに、通常クランクシャフトから取り出した動力で空気を圧縮するスーパーチャージャーを48Vの電気駆動式として、メインのターボチャージャーをアシスト。これにより、ターボが苦手とする低回転域でも、必要な過給が行えるようになった。

こうした新技術を盛り込むことで、S450のパワートレインはとても魅力的な仕上がりを見せている。それはエンジン始動の瞬間からすぐにわかるもので、素早くスムーズにエンジンがスタートする。同様にアイドリングストップ後のエンジン再始動にも効くわけで、これまでアイドリングストップを煩わしく思っていた人には特に効果的だ。モーターによる制御でアイドリング時の振動も低減。しかもアイドリングの回転数は520rpmと低く抑えられる。

低回転からの加速も、ISGと電動スーパーチャージャーのおかげで、実に素早く力強い。走行中にコースティングに入ったあと、アクセルペダルを軽く踏むだけで間髪入れずにエンジンが再始動するから、加速が出遅れることもない。これで、従来のM276 V6エンジンに対して17%の燃費低減が図られているというのも見逃せない。

ガソリンエンジンの魅力をさらに高めながら、時代の要望の応える高効率を実現したM256型直6エンジン。日本ではまだこのS450だけの搭載だが、採用モデルの拡大に期待したい。

(文=生方 聡/写真=荒川正幸/編集=関 顕也)

「S450」の3リッター直6エンジンには、排気を利用するターボチャージャーのほか、48V電源を使った電動スーパーチャージャーも備わる。
「S450」の3リッター直6エンジンには、排気を利用するターボチャージャーのほか、48V電源を使った電動スーパーチャージャーも備わる。拡大
あなたにおすすめの記事
新着記事
  • T.50 NEW

    T.50

    2020.8.6画像・写真
    英国のゴードン・マレー・オートモーティブが新型スーパーカー「T.50」を発表した。最高出力663PSのV12エンジンを全長4352mmのコンパクトなボディーに積み、リアには空力などをコントロールする電動ファンを備えたニューモデルの姿を写真で紹介する。
  • 第222回:子供だってトラックとワゴンの違いはわかります 『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』 NEW

    第222回:子供だってトラックとワゴンの違いはわかります 『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』

    2020.8.6読んでますカー、観てますカー
    ジークとアールとディックは売れないバンド仲間。練習と称してガレージに集まりバカ騒ぎしていると、あることが原因でディックが死んでしまう。殺人事件として捜査が進む中、自分たちが関わっていることを知られたくないジークとアールはその場しのぎのウソをつき痕跡を消そうとする。
  • BMW X3 M40d/BMWアルピナXD3(前編)【試乗記】 NEW

    BMW X3 M40d/BMWアルピナXD3(前編)【試乗記】

    2020.8.6試乗記
    「BMW X3 M40d」と「BMWアルピナXD3」。3リッター直6ディーゼルターボエンジンを搭載する“似た者同士”の高性能SUVに試乗し、それぞれの特徴をリポートする。まずは前編、BMW X3 M40dから。
  • ホンダe(後編)

    ホンダe(後編)

    2020.8.5画像・写真
    ホンダの都市型EVコミューター「ホンダe」は、新開発の後輪駆動EVプラットフォームを採用。またAIを活用したドライバーアシストや携帯端末をキーとして用いるデジタルキーなど、先進機能の搭載もトピックとなっている。話題満載の最新EVの詳細を、写真で紹介する。
  • ホンダe(前編)

    ホンダe(前編)

    2020.8.5画像・写真
    ホンダが新型電気自動車「ホンダe」の日本仕様を公開した。ホンダeは、新開発のEV専用プラットフォームをベースに開発されたコンパクトモデルであり、WLTCモードで282kmの航続距離を実現している。まもなく発売される新型EVの詳細な姿を、写真で紹介する。
  • トヨタ・ヤリスZ(FF/6MT)【試乗記】

    トヨタ・ヤリスZ(FF/6MT)【試乗記】

    2020.8.5試乗記
    WRC参戦車のスポーツイメージを浸透させるべく「トヨタ・ヤリス」に設定されたというMTモデル。果たしてその実力は? 1.5リッター直3エンジン+6段MT搭載車をロングドライブに連れ出し、確かめてみた。