30年前の巨匠作品にも

自動車のボディーに文字を記し、それをスタイリッシュに見せるというアイデアをいち早く試みたのは、イタリアを代表するカーデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロと彼が率いるイタルデザインである。

具体的には1988年のトリノショーで公開した「アスピッド」とそのバルケッタ版である「アズテック」、そしてワンボックスのミニバンである「アスガード」だ。イタルデザインの20周年記念作である3台は、いずれもドア周辺に小さな文字が記されている。

その脇には1から3までのキーが付いている。3つの数字の組み合わせで、マルチファンクション・インジケーターに何を表示させるか切り替えられる。「エアフィルターのメンテナンス」「オート・セルフレベリングのオイル交換」などをチェックできるというアイデアだ。さらに、12VのDCソケットまで備わっている。

ちなみにボクは2004年、実際にイタルデザインの非公開社内ミュージアムでボタンをこっそり押してみたが、まったく押し込めなかった。少なくともそこにあったのは、ダミーだった。

ジウジアーロ史の中でこの3台は、従来ボディーデザインのみで提案を行ってきた彼が、本格的にディテールで遊んだ初の例であるとボクはみている。

1988年にイタルデザインが公開した「アスピッド」(左)と「アスガード」(右)。
1988年にイタルデザインが公開した「アスピッド」(左)と「アスガード」(右)。拡大
イタルデザインの「アスガード」。
イタルデザインの「アスガード」。拡大
車外のコントロールパネルはクルマごとに、それも左右で微妙に違う。これは「アスピッド」の左サイド。
車外のコントロールパネルはクルマごとに、それも左右で微妙に違う。これは「アスピッド」の左サイド。拡大
「アスガード」の同じ部分(右サイド)。
「アスガード」の同じ部分(右サイド)。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など数々の著書・訳書あり。

あなたにおすすめの記事
新着記事