治すだけでは得点にならない

決勝での技術競技の課題は「ボルボXC60 T8 Twin Engine AWDインスクリプション」の修理。つまりプラグインハイブリッド車の修理である。抱えている最も大きな不具合が、電動レバーを操作してもシフトできないという、トランスミッション系のトラブルだ。実はこの故障の原因は、エンジンルーム内にあるシフトアクチュエーターのカプラー外れなのだが、それに気がついて即修理完了……では得点とならないのが、競技としての面白さだろう。

点数を得るためにはボルボ車専用診断ソフトを使用し、的確な診断内容と修理手順を引き出し、それに沿って修理を進めなければならない。メカニックの経験や勘による素早い修理が評価されない理由は、最新の診断情報を取得し、同系統の他の箇所に故障がないことをしっかりとチェックすることが必要だからである。これが結果として、迅速な修理や修理費の抑制といった、顧客サービス向上につながるという原則があるからだ。

実際の大会に場面を移そう。各チームともになかなか作業が進まないうちに、55分の競技時間はどんどん残り少なくなっていく。取材しているこちらも次第にハラハラしてくる。結果、全てのチームが途中でタイムアップとなってしまった。しかし、競技としてはこれで問題はなく、審査員はそこまでの作業工程と進捗状況をチェックして点数をつける。このため進行状況から順位を予想することはできず、この時点での順位は見当もつかなかった。

もうひとつの試験は接客対応のロールプレイだ。「V60クロスカントリー」の定期点検入庫のために来店したAさんと、技術競技で修理を行ったXC60のオーナーB夫妻が引き取りに来店するという設定で、サービスマンとメカニックが協力して接客対応をする。時間はわずか15分。客を演ずるのは役者さんたちだ。

顧客との対応は各チームとも日常業務であるため、最初は緊張が見て取れたものの、全体としてはスムーズに進行。しかし、そこは敵(?)も去るもの。客役の役者さんは、説明で分からなかった細かな点やトラブル再発の可能性といった質問をビシビシと投げかける。特にB夫妻役の2人は、新車購入直後のトラブルに強い不安を感じた顧客を熱演。自分がサービスマンだったら……と想像してしまうほどの見ごたえがあった。各チームとも、基本的な説明の内容に違いはほとんどなかったが、その手順や内容のかみ砕き方といった点に、個性が見えたのが面白かった。

写真中央では、メカニック氏が真剣な面持ちでパソコンに向かって車両診断ソフトを操作している。経験と勘だけで修理するのでは不十分なのだ。
写真中央では、メカニック氏が真剣な面持ちでパソコンに向かって車両診断ソフトを操作している。経験と勘だけで修理するのでは不十分なのだ。拡大
結果的に全チームが修理が終わらぬままタイムアップとなった。競技としてはこれで問題なく、作業工程の正しさと進捗状況が点数化される。
結果的に全チームが修理が終わらぬままタイムアップとなった。競技としてはこれで問題なく、作業工程の正しさと進捗状況が点数化される。拡大
修理のため「XC60」を入庫させていたB夫妻(写真左)の対応をするサービスマン氏。実際のディーラーでは、日常的に見られる光景だろう。
修理のため「XC60」を入庫させていたB夫妻(写真左)の対応をするサービスマン氏。実際のディーラーでは、日常的に見られる光景だろう。拡大
「どこがダメだったの?」「もう大丈夫なの?」といった質問に対し、クルマに詳しくない人でも分かるような言葉で説明することが大切なのだ。
「どこがダメだったの?」「もう大丈夫なの?」といった質問に対し、クルマに詳しくない人でも分かるような言葉で説明することが大切なのだ。拡大
あなたにおすすめの記事
関連記事
  • ボルボXC40 2017.9.21 画像・写真 ボルボが新型コンパクトSUV「XC40」を発表した。小型車向けの新世代アーキテクチャー「CMA」を採用した初のモデルであり、パワープラントには4気筒のガソリンエンジンやディーゼルエンジン、ハイブリッドなどに加え、3気筒エンジンも設定される予定となっている。
  • ボルボXC40 T4 AWDモメンタム(4WD/8AT)【試乗記】 2018.10.21 試乗記 あっさり完売してしまった「ボルボXC40」の導入記念モデル「T5 AWD R-DESIGNファーストエディション」に続き、カタログモデルの「T4 AWDモメンタム」に試乗することができた。装備“マシマシ”の記念モデルに対して、こちらはいわば“素”のモデル。その仕上がりやいかに?
  • ボルボが初の電気自動車「XC40リチャージ」を発表 新しい電動カー製品群の第1弾 2019.10.17 自動車ニュース ボルボ・カーズが初の電気自動車「XC40リチャージ」を発表した。駆動システムは最高出力408hpの電動4WDで、一回の充電で400kmの走行が可能。ボルボは今後5年にわたり毎年EVを市場投入し、2025年には世界販売の半数をEVにするとしている。
  • BMW M760Li xDrive(4WD/8AT)【試乗記】 2019.11.4 試乗記 BMWの旗艦サルーン「7シリーズ」の中でも、ブランド唯一の12気筒を搭載する「M760Li xDrive」。“最上級の中の最上級”に位置するこのモデルは、古典的な自動車の歓びと、ADASやコネクテッドといった新分野に対するBMWの挑戦を感じさせる一台に仕上がっていた。
  • 先進安全装備を強化した「ボルボXC40」発売 2019.3.6 自動車ニュース ボルボ・カー・ジャパンは2019年3月6日、コンパクトSUV「XC40」について、運転支援システムの機能を強化すると発表した。仕様変更後のモデルは、新たな価格で同年3月25日に発売される。
ホームへ戻る