日本は特殊な市場

中:それと、カーマニアと一般の人とのギャップが広いのが日本です。海外では、一般の人もそこそこクルマ好きだからカーマニアとのギャップが狭い。だからデザインの好みに関しても、そんなに大きな溝はない。

清:フツーにカッコいいクルマに、フツーにみんな憧れる。ちょっと昔の日本みたいに。

中:アジアでも日本だけ特別なんです。韓国や中国の市場は実はヨーロッパに近い。日本には、韓国車も中国車も走ってないから、理解しにくいでしょうけど。

清:私も韓国はかなり見てますが、中国はここ10年以上見てないな~。

中:中国はまだ輸出はこれからのところだけど、中国のローカルブランドのデザイン、猛烈に向上してますよ。韓国車は言わずもがなですけど。

清:日本では、カーマニアすら、韓国車のことは眼中にないですからね。

中:悔しいけど、起亜の「スティンガーGT」なんて、タイヤのプロポーション、車高の低さとか、なんでこんなのできちゃうんだ、って感じですよ。

清:スティンガーGTのカッコよさは衝撃ですね……。でも日本には、あのクルマの市場は皆無でしょうねぇ。日本で古典的にカッコいいクルマに乗るのは保守派のカーマニアだけだから、ブランドにこだわる。そして一般ユーザーは、伝統的なカッコよさを完全に捨てている。

中:ところで、元日本メーカーの人間が言うのもなんですが、日本は輸入車比率が低すぎます。90%以上が国産車という国は他にありません。シェアの4割を1社で占めるというのもちょっと異常ですよね。

清:シェア構成も非常に特殊。

中:世界にはいろんなブランドがあるのだから、輸入車を含めていろんなクルマからチョイスができるのが本来だと思います。日本車にすべてを求める必要はないんです。最近日本でのフランス車のシェアが上がってるらしいですが、正しい傾向だと思います。

清:大河の一滴ではありますが!

中:これからも日本の市場はインターナショナルにはならないでしょう。でもね、ある意味、日本は世界をリードしているところがあるわけです。クルマ離れなんかも、今や世界中で始まってますから。軽自動車もあれだけ商品力があるのに、日本だけで売ってるのはもったいない。サイズやエンジンの規制枠を少し緩めてプロポーションを良くすれば海外でも売れるクルマになると思うんです。5ナンバーもそうだけど、僕は法規制を見直した方が日本の国際的競争力がさらに付くと思っています。

清:昔から言われてることですけど、実現しそうな気配ゼロですね……。

中:ところで、最近本屋さんで『世界を変えたクルマ50台』という本を見つけたんですよ。イギリスのデザインミュージアムが出版してるんですが、「T型フォード」から始まって、「ビートル」「MINI」「2CV」「Eタイプ」などに交じって、なんと「キューブ」が入ってたんです。日本的なクルマに対する価値が表現されてることが評価されて。

清:マジすか! そりゃスゴイ! クルマ界の「スシ」ですね!

中:将来的に、もっと日本独自のクルマが世界に評価されて、世界を変えていってほしいですね。

「起亜スティンガーGT」
「起亜スティンガーGT」拡大
「ハバルH6」は2017年に中国市場で2番目に多く販売された、中国ブランドのクルマ。
「ハバルH6」は2017年に中国市場で2番目に多く販売された、中国ブランドのクルマ。拡大
日本で売れているフランス車といえば、「シトロエンC3」もそのひとつ。
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「日産キューブ」はイギリスのデザインミュージアムが出版している『世界を変えたクルマ50台』の1台に選ばれている。
「日産キューブ」はイギリスのデザインミュージアムが出版している『世界を変えたクルマ50台』の1台に選ばれている。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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