溥儀と同じ自由の風?

モバイクの自転車を早速こぎだしてみる。かなり使い込まれていることもあるのか、フレームの剛性はかなり低い。そうした意味ではパリのヴェリブに使われている車両のほうが頑丈だ。しかし、ヴェリブのほうはかなり重量級で、ステーションのラックから引き出したり返却したりするとき、やや腕力を要する。それを考えると、個人的には少々ヤワくても、モバイクのほうが好みである。

路地から大通りにこぎだした途端、脳裏に浮かんだ映画のシーンがあった。1987年の映画『ラストエンペラー』だ。ジョン・ローン演じる若き清(しん)朝皇帝・溥儀が紫禁城内を自転車で走りまわるシーンだ。結局、彼は衛兵に止められ、城から外に出ることはできなかった。だが彼がペダルをこぎながら感じた風は、ボク同様、自由な移動を手に入れたときの風だったに違いない。

一方通行の自転車道ゆえ、逆方向に向かうときは、スロープのある歩道橋を渡るか、もしくは次の信号まで行くしかない。だが歩行者がいないので、運転にはストレスが少ない。クルマが渋滞しているのを横目にすいすい走る。北京ナンバーのポルシェを仮想敵にして、ボクとどちらが早く次の交差点までたどり着けるかといったゲームも楽しんだ。

空気注入口がないところからして、タイヤはソリッドである。
空気注入口がないところからして、タイヤはソリッドである。拡大
交差点は例え信号があっても、思わぬ方向から攻められるので、かなりのバトルとなる。
交差点は例え信号があっても、思わぬ方向から攻められるので、かなりのバトルとなる。拡大
冷麺の屋台、そのかなたにポルシェ。自転車に乗ると、エキサイティングな北京を別の視点で楽しむことができる。
冷麺の屋台、そのかなたにポルシェ。自転車に乗ると、エキサイティングな北京を別の視点で楽しむことができる。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など数々の著書・訳書あり。

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