“選択と集中”は危険もはらむ
車種数を絞ってグレードを増やすと、先に触れたレガシィであれば210万円台のベーシックなグレードに買い得感が生じる。320万円台の仕様と同様の質感が100万円安い価格で得られるからだ。
今のBMW 3シリーズなら「340i Mスポーツ」は850万円、M3は1209万円に達するが、1.5リッターターボの「318i SE」は、同じボディーを持ちながら431万円だ。低価格でも、高額な上級グレードと同じ品質を得られる。
ただしそうなると、高価格なグレードではパワーユニットなどに相応の高性能と品質が伴っていなければ、ユーザーを納得させることはできない。
BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツCクラス、BMW製のMINIなどはいずれも日本の使用環境に適した輸入車だ。そこに多種多様なグレードが用意されていることは、楽しいクルマ選びを可能にしてくれる。
その一方で、車種やプラットフォームの数を抑えてグレードを増やすという戦略には、商品開発の基本路線を間違えると、すべての商品が不人気になってしまうという危うさもある。トヨタの「パッソ」と「ヴェルファイア」、日産の「セレナ」と「GT-R」が共倒れになる心配はないが、欧州メーカーや日本のマツダ、スバルなどではそれが起こり得る。
つまり、大メーカー以上にクルマ好きの気持ちをがっちりとつかむ商品開発をしなければならない。何でもそろうトヨタや日産とは違う、限られたユーザーに向けた濃度の高い商品開発が、クルマ好きの共感を呼び起こすのである。
(文=渡辺陽一郎/編集=藤沢 勝)
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