かの地のメーカーが不正に手を染めた理由

BMWとダイムラーは依然として不正なソフトウエアを搭載したとは認めていない。しかしこれら一連の動きがはっきりと示しているのは、依然としてディーゼル不正事件は終わっていないということだ。それどころか、今後も拡大する可能性さえある。

今回のディーゼル不正事件が発覚するきっかけとなったのは 2014年11月に米国のICCT(International Council on Clean Transportation)という環境団体が発表した一つのリポートだった。このリポートは、完成車メーカー6社・15車種のディーゼル乗用車にポータブルタイプの排ガス試験装置を搭載し、実際の道路上を走行させて有害物質の排出量を測定したもので、驚いたことに、15車種の中で欧州の最新の排ガス基準である「ユーロ6」のNOx排出基準を満たしていたのはわずか1車種で、他の車種はすべて、基準値を大幅に超えていたのである。そのうちの2車種は基準値の20倍以上を排出しており、その2車種ともがフォルクスワーゲン製であったことが不正発覚の端緒となった。

ドイツのメーカーに不正が集中するのは偶然ではない。フォルクスワーゲンの事件の全容は依然として捜査中だが、現在までに多くの暴露本などで明らかになったのは、同社の世界一の完成車メーカーを目指す拡大主義と、そのためには手段を選ばない法令軽視の姿勢、そして上司の命令には逆らえない強権的な企業風土である。こうした企業風土は、多かれ少なかれドイツの企業に共通する。

しかも、欧州では高級車種ほどディーゼル比率が高い。高級車でも手動変速機を搭載する場合が多い欧州では、トルクの大きいディーゼルエンジンのほうが変速の頻度が少なくて済み、また燃費がいいので長距離移動でも給油の手間を減らせるからだ。つまり欧州の高級車市場ではディーゼルこそが主戦場なのであり、激烈な競争領域であるからこそ、不正に手を染める土壌と動機がある。

ドイツメーカーによる一連の排出ガス不正疑惑は、2015年にフォルクスワーゲンによる不正が発覚したことに端を発する。この問題について、ドイツのブラウンシュバイク検察当局は2018年6月13日、フォルクスワーゲンに10億ユーロ(約1300億円)の罰金を支払うよう命令。この命令をフォルクスワーゲンが受諾したことから、同社の規制違反にかかわる手続きはひと段落することとなった。写真はディフィートデバイスが搭載されたとされる「EA189」型2リッターディーゼルターボエンジン。
ドイツメーカーによる一連の排出ガス不正疑惑は、2015年にフォルクスワーゲンによる不正が発覚したことに端を発する。この問題について、ドイツのブラウンシュバイク検察当局は2018年6月13日、フォルクスワーゲンに10億ユーロ(約1300億円)の罰金を支払うよう命令。この命令をフォルクスワーゲンが受諾したことから、同社の規制違反にかかわる手続きはひと段落することとなった。写真はディフィートデバイスが搭載されたとされる「EA189」型2リッターディーゼルターボエンジン。拡大
一連の捜査で不正が認められたのは、「EA189」型と第3世代の「EA288」型(写真)のエンジンを搭載したディーゼル車である。これらのモデルは、2007年半ばから2015年までの間に、グローバルで1070万台が販売された。なお10億ユーロの罰金の内訳は、500万ユーロが制裁金、9億9500万ユーロが不正に得た利益の返還金とされている。
一連の捜査で不正が認められたのは、「EA189」型と第3世代の「EA288」型(写真)のエンジンを搭載したディーゼル車である。これらのモデルは、2007年半ばから2015年までの間に、グローバルで1070万台が販売された。なお10億ユーロの罰金の内訳は、500万ユーロが制裁金、9億9500万ユーロが不正に得た利益の返還金とされている。拡大
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