文化の担い手は私たち自身である

翻ってわが国は、初年度登録後13年を経たのちは15%の加算が課されてしまう自動車税など、クラシックカーにとってシビアな環境となっているものの、筆者は将来に関して悲観はしていない。

こちらもイベントの話になってしまうのだが、例えばイタリアのミッレ・ミリアの日本版「La Festa Mille Miglia」は、定期開催されるようになって20年以上の時を経ているほか、その影響を受けたタイムラリー形式イベントも日本国内で数多く開かれている。サーキットで催されるものとしても、例えば鈴鹿の「SUZUKA Sound of ENGINE」などが世界的イベントとして認知されつつあるのも喜ばしいかぎり。

また、筆者自身も発起人のひとりとして参画した「東京コンクール・デレガンス」や「浅間ヒルクライム」など、以前の日本では開催が難しいといわれていたイベントも実現した。特にヒルクライムは、今や日本国内各地でフォロワーが生まれるなど、日本のクラシックカー趣味の世界に、新しいトレンドを形成したと自負している。

トレードショーについても、以前は国産車中心のドメスティックなものが主流を占めていた中、2016年からは仏「レトロモビル」をお手本とした「オートモビル カウンシル」が開催されることになり、世界レベルの自動車趣味の世界を垣間見られる場として定着しつつある。

さらに言うなら、1980年代初頭あたりに端を発する日本のレストア技術も、関係者たちの不断の努力によって現在では世界のトップレベルに達していると、自信をもって断言することができる。だから、このコラム執筆に当たってwebCG編集部から投げかけられたテーマ「日本にクラシックカー文化は根付くのか?」については、いささかの希望的観測も含めてではあるものの「Yes」と答えたいのだ。

ただし、このYesにはいささかの条件がある。自動車に限らず、例えば美術や音楽なども、かつては王族や貴族などの特権階級がパトロンとなって文化を醸成してきたことはご存じのとおりである。一方、少なくとも現時点では民主主義国であるわが国においては、われわれ市井の愛好家がサポーターとならねばなるまい。

自動車専門誌を購読することや、専門ウェブサイトを見ること。あるいは国内のクラシックカーイベントに足を運ぶことなど、一見細やかにも見える行動こそが、クラシックカー文化の推進力となることを、今一度再認識してほしいと心から願っているのである。

(文=武田公実/写真=武田公実、webCG/編集=堀田剛資)

2016年の「La Festa Mille Miglia」にて、チェックポイントが設けられた東京・代官山の蔦屋書店に到着する参加者たち。
2016年の「La Festa Mille Miglia」にて、チェックポイントが設けられた東京・代官山の蔦屋書店に到着する参加者たち。拡大
鈴鹿サーキットで行われる「SUZUKA Sound of ENGINE」は、2015年に誕生したまだ若いイベントである。
鈴鹿サーキットで行われる「SUZUKA Sound of ENGINE」は、2015年に誕生したまだ若いイベントである。拡大
浅間山麓のワインディングロードで行われる「浅間ヒルクライム」。このイベントが誕生するまで、日本では一般公道を封鎖する自動車イベントの開催は難しいとされていた。
浅間山麓のワインディングロードで行われる「浅間ヒルクライム」。このイベントが誕生するまで、日本では一般公道を封鎖する自動車イベントの開催は難しいとされていた。拡大
2016年に初開催された「オートモビル カウンシル」。フランスの「レトロモビル」と同じトレードショー形式のイベントで、今年(2018年)も8月3日~5日にかけて開催される。
2016年に初開催された「オートモビル カウンシル」。フランスの「レトロモビル」と同じトレードショー形式のイベントで、今年(2018年)も8月3日~5日にかけて開催される。拡大
2016年の「オートモビル カウンシル」にて。日本のレストア技術は世界的にもトップレベルにある。
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