想像を絶する肉体改造

3人目が生まれると、マーロの日常は地獄と化す。夜泣きのたびに起きて授乳するから、慢性的な睡眠不足。日に何度もおむつを替え、おっぱいが張ってくると搾乳して冷蔵庫に保存する。食事の用意をして後片付けをして、洗濯物は山のようだ。2人の子供の送り迎えをし、ジョナの件でまた校長に呼び出された。床に散らばっていたレゴのパーツを踏みつけてしまうし、子供の夕食に冷凍ピザを出していると帰宅したドリューから皮肉を浴びせられる。しかし彼は子育てを手伝うわけでもなく、ベッドでゾンビゲームを楽しんでいるのだ。Fuuuuuuuuck!と叫んでしまうのは責められない。

お産が終わったのに、マーロの体は緩みきったままだ。出っ張ったおなかを見たサラに「お母さん、どうしたの?」と驚かれてしまう。なんともリアルな中年経産婦の体つきである。これは特殊メイクでもコンピューターグラフィック処理でもない。シャーリーズ・セロンは役作りのために18kgも増量したのだ。カロリーの高いファストフードを詰め込み、3カ月半かけて太ったという。2003年の『モンスター』でも増量したが、あの時は13kg。今回の肉体改造はさすがにきつかったようで、もとに戻すのに1年半を要したらしい。

『イーオン・フラックス』や『アトミック・ブロンド』では、キレッキレのアクションを披露していたし、『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサ様である。カッコいい女性の代表的存在となった彼女がこんなダルダルの体でスクリーンに登場するとは、誰が想像しただろう。トム・クルーズが地上7620メートルからダイブするのと同じかそれ以上のフィジカル的チャレンジである。

そういえば、ジェイソン・ライトマン監督作では、前に紹介した『とらわれて夏』でケイト・ウィンスレットがダルダルでむっちりセクシーな完熟ボディーを披露していた。監督の好みなのだろうか。

(c) 2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
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第177回:あの美女が中古フィットに乗る中年女を演ずる『タリーと私の秘密の時間』の画像拡大
 
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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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