走っていても、止まっていても注目の的

僕は初日の最初のクルマとして、並んでいた中で最も古いDB4を選んだ。アストンの歴史の中でエポックメイキングな存在として輝いている、1958年デビューの高性能GTである。ステアリングを握るのは、十数年ぶり。そのエレガントな姿をじっくり眺める暇もなく、ドーバー海峡に向かって慌ただしくスタートする。

対向車とすれ違うのにも気をつかうぐらいの小道を抜け、映画に出てきそうな雰囲気の、だけどかの地にはよくある村とも集落ともつかない美しい街並みを眺めながらコンボイでゆっくりと走り、今回はテストドライブというわけじゃないから仕方ないけど一度ぐらいはアクセルペダルを奥まで踏んでみたいなどと思ってたら……あれ? 何だかブレーキを引きずっている感じがするかも……。そしてそれは次第に悪化し、「交通の流れをせき止めないところがあったらクルマを止めるべきだな」と思った次の瞬間に小さな交差点の小さな信号に引っ掛かり、するとそこからはスタートもできないぐらいガッチリとブレーキがかんでしまった。

後続車が通れるよう何とかDB4を歩道に半分乗り上げるようにして止め、先行している運営チームのケータイ番号を探していたら、傍らを老夫婦が「あら、懐かしいアストンマーティンだわね」「昔、このクルマには憧れたものだよ」なんて、こちらを眺めながらニコニコと通り過ぎていく。自転車に乗った若者も「わーお!」と喜びながら、うれしそうにDB4を見つめていく。この年代のアストン、かの地でももはやだいぶ珍しいのだろうか? いずれにせよDB4、走っているときの周囲の反応からしても、かなり注目を浴びるクルマであることは確かだ。……今は壊れてるんだけどね。

一番最初に試乗した、試乗車の中で一番古い「DB4」。本文で紹介するトラブルもあって、ロンドンからドーバーを渡る手前まで、ずっと一緒に行動することとなった。
一番最初に試乗した、試乗車の中で一番古い「DB4」。本文で紹介するトラブルもあって、ロンドンからドーバーを渡る手前まで、ずっと一緒に行動することとなった。拡大
「DB4」のデビューは今をさかのぼること60年の1958年。パワープラントは3.7リッター直6エンジンと4段MTの組み合わせで、カロッツェリア・トゥーリングが特許を持つスーパーレッジェーラ製法で製作された。
「DB4」のデビューは今をさかのぼること60年の1958年。パワープラントは3.7リッター直6エンジンと4段MTの組み合わせで、カロッツェリア・トゥーリングが特許を持つスーパーレッジェーラ製法で製作された。拡大
デビュー後もほぼ毎年のペースで細部に改良が加えられた「DB4」。後に高性能モデルの「DB4 G.T.」や「DB4 G.T.ザガート」も登場した。
デビュー後もほぼ毎年のペースで細部に改良が加えられた「DB4」。後に高性能モデルの「DB4 G.T.」や「DB4 G.T.ザガート」も登場した。拡大
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