ホンダCR-V(4WD/CVT)
あえて普通を目指す 2018.08.17 試乗記 日本での販売終了から2年、ようやく「ホンダCR-V」が帰ってくる。ガソリンターボとハイブリッドが用意されるうち、1.5リッターターボ版に試乗。ヨーロッパの道を走り込んで熟成させたという5代目モデルは、日常の道具として進化を遂げていた。2年ぶりの復活には理由がある
百花繚乱(りょうらん)のSUVカテゴリーにあって、ホンダは国内市場をたった1モデル、すなわち「ヴェゼル」のみで戦っている。シンパの票を一手に担うことも手伝ってかその販売は好調だが、トヨタ、日産、マツダにスバルと他4社は多彩な布陣でもっとおいしい思いをしているのではなかろうか。
じゃあホンダに打つタマなしかといえばそんなこともなく、アメリカではアキュラも含め都合6モデルのラインナップを擁している。もはやどっちが本国だかわからない、そんな国内市場の手薄ぶりにキリキリしていたのは販売店だけではないだろう。
そんなこんなで市場に投入されることになった新型CR-V。先代の国内販売終了からほぼ2年ぶりの復活と、解せないブランクには理由がある。まず主要市場である米中市場向けに開発リソースを集中させ、数が少ない割にオンロードでのハンドリングを中心としたダイナミクスの要求が厳しい日欧市場向けは熟成期間を長めに見積もる。並行して初の中型SUVを扱う寄居工場の生産体制も立ち上げて……と、そのための猶予がこの2年だったわけだ。
この間、開発陣はニュルブルクリンク周辺の郊外路を中心に実地での走り込みを重ねたという。その部隊も若手エンジニアを中心に構成し、寝食を共にしながらのさながら合宿のような体制を採った理由は「机上だけではない泥臭くて面倒なクルマの作り方というのを経験してもらいたかった」という永留LPLの意向だったそうだ。ほかにもイギリスの郊外路やスペインの山岳路などで、テストコースでは再現の難しい生の入力に向かい合ってこのCR-Vを熟成させた。そしてここで得られた知見は、必要に応じて米中の仕様にもマイナーチェンジとして反映されるというわけだ。