共通化によってコスト削減を図る

プラットフォームを幅広い車種で共通化するのは、車両の土台に相当する部分とあって、開発費用が膨大になるからだ。衝突安全性や動力性能、燃費、走行安定性、乗り心地、居住性まで、車両の機能のすべてに影響を与える。

しかも今後は、プラグインハイブリッド車や電気自動車なども商品化するから、1つのプラットフォームでいろいろなパワートレインに対応しなくてはならない。

そうなるとプラットフォームの種類を抑えて、多くの車種に使うほうがメリットが大きい。コスト低減がより重要な軽自動車は、前輪駆動の乗用車であればプラットフォームは基本的に全車共通で各社1種類のみだ。「スズキ・ジムニー」などの特殊な車種は、10年以上(先代ジムニーは20年)造り続けて償却する。

マツダはプラットフォームの種類が少なく、「デミオ」と「アテンザ」といった異なるタイプでも、基本的な考え方は共通だ。サイズは違っても、同じ技術を使える。

トヨタでは「レクサスLS」と「クラウン」が同じプラットフォームを使う。以前のレクサスの開発者は、「レクサスの機能はトヨタブランドには使わせない」などと言い、トヨタブランドの開発者からは「子供じみたことをやっている」という自嘲的な意見が聞かれた。このような一種のセクト主義も、効率を高める上では通用せず、共通化が進む。

結論を言えば、メーカーにとってはともかく、ユーザーにとってのプラットフォームは、ウンチクとかトリビアの類いにすぎない。クルマを買う時は、それぞれの車種を試乗して判断するのがいい。

それでもあえてひとつの傾向を挙げるとすれば、初採用されたプラットフォームは、走行安定性や乗り心地のセッティングが未熟なことも多い。

例えばTNGAに基づく前輪駆動プラットフォームを初めて採用した「トヨタ・プリウス」は、よく曲がる代わりに後輪の接地性がそがれやすい。それが「C-HR」や「カローラ スポーツ」になると同じプラットフォームを使いながら熟成が進んでいる。C-HRの開発者は「C-HRはプリウスの1年後に発売された。この時間差は大きく、安定性と乗り心地を熟成できた」と言う。

とても曖昧だが、車両の機能に大きな影響を与えるのがプラットフォームだ。個人的には非常に面倒な対象だと考えている。

(文=渡辺陽一郎/写真=トヨタ自動車、BMW、webCG/編集=藤沢 勝)

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