スタッフを守るのも責任者の務め

浅木氏は着任後、組織体系の明確化を進め、“開発監督のさくら”“現場監督のミルトンキーンズ”という立場をはっきりさせたという。そしてさくらでの業務に関しては、すべて自身の責任において意思決定のスピードとプロセスを明確化させた。ちなみにHRDミルトンキーンズからGPの現場でのマネジメントを統括する田辺豊治F1テクニカルディレクターは、浅木氏と共に第2期のF1を経験した先輩後輩の関係にある。

「私の立場でこれを言うのも何なのですが、この体制になって、さくらは本当に変わりました。中にいる人々も気持ちに余裕ができたんだと思います。勝たなきゃいけない、あれもこれもやらないとメルセデスやフェラーリに追いつけない……みたいな圧から解放されて、課題が明確化して順番に対処していくという道筋もきちんと見えてきた。本当はそれができていなきゃならなかったんだけど、できてなかったのが前年までの話ですよね」

山本部長の正直な告白に浅木氏が続ける。
「そりゃあれもこれもやればメルセデスやフェラーリに追いつくっていうなら、みんなの尻たたいて何が何でもやりますよ。でもそんなの無理ですから。会社の上の者はね、『周囲の期待を受けてさくらは何やってるんだ』って突き上げてきますけど、そこは理解してもらわないといけないし、中の者を守らないといけない。そういう役目をきちんと私がやらないといけないってことです。これも開発の足場固めのひとつですね」

年初に行われたバルセロナテストにおいて、トロロッソのフランツ・トスト代表とともに記者会見に臨む田辺豊治F1テクニカルディレクター。
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新体制になってからのHRD Sakuraの雰囲気の変化について語る山本部長。かつては周囲からの圧力により、スタッフが思考停止に陥っていたという。
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「自分たちが進化をする間にメルセデスもフェラーリも進化をする。ライバルよりも“急角度”で進化し、間を埋めなければならない」と語る浅木氏。
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