線を引いたデザイナーがうらやましい

ほった:開発の人たちは、フロントマスクの角を丸めたら、見切りが悪くなると考えたのかもしれませんね。

明照寺:なるほど。こういうクルマですし、実用性も考えてるのかもしれません。ただ、シエラのオーバーフェンダーを付けると実際こんなにしっかり見えるじゃないですか。デザイナーとしては、「こういうやり方もアリだな」と思いました。

永福:こういうやり方というのは?

明照寺:われわれの仕事って、車幅が最初に決められていて、その中でどうしようかなと考えるわけですけど、ジムニーとジムニーシエラを見ると、最初の条件よりも幅の狭いデザインをしてやれば、最後にこんなにボーナスが付けられるということです。全然踏ん張り感が違いますから。

永福:まさにデザイナーならではの感想ですね!

ほった:そろそろまとめたいのですが、ジムニーはデザイン的には傑作なんですか?

明照寺:このタイプでやるんだったら、もうこれしかないんじゃないでしょうか。前のジムニーに比べても、サイドビューがスポーティーでしょう。これだけでもオッケーですよ。「箱だけどスポーティー」という。ラングラーに近い比率ですね。

永福:それにしても、スズキのデザインには傑作が多いですよね。

明照寺:多いです。

永福:最後に、ジムニーのデザインをひと言で表すと? 僕は「おふくろの味」だったんでが。

明照寺:難しいですね。細部までやり切っていて、今回は同じデザイナーとして、ただただ「うらやましい」としか言えないですね。

ほった:「作り手がうらやましくなるデザイン」ということで、よろしいでしょうか。

永福:見方がまるで違うな~(笑)。

(文=永福ランプ<清水草一>)

四角く、はっきりと角のあるフロントまわりの形状は、運転席からの“見切りのよさ”を重視したもの。障害物の多いオフロードを走ることを想定したものだ。(写真=田村 弥)
四角く、はっきりと角のあるフロントまわりの形状は、運転席からの“見切りのよさ”を重視したもの。障害物の多いオフロードを走ることを想定したものだ。(写真=田村 弥)拡大
1475mmという「ジムニー」の全幅に対し、「ジムニーシエラ」のそれは1645mm。左右のオーバーフェンダーで、実に17cm(!)もボディーが“かさ増し”されているのだ。(写真=向後一宏)
1475mmという「ジムニー」の全幅に対し、「ジムニーシエラ」のそれは1645mm。左右のオーバーフェンダーで、実に17cm(!)もボディーが“かさ増し”されているのだ。(写真=向後一宏)拡大
小型車バージョンの「ジムニーシエラ」ですら、新型「ジープ・ラングラー」(3ドア、本国仕様)と比べると、幅が23cm、ホイールベースが21cmも小さい。限られた寸法の中で、この存在感をかなえたデザイナーには、本当に拍手である。
小型車バージョンの「ジムニーシエラ」ですら、新型「ジープ・ラングラー」(3ドア、本国仕様)と比べると、幅が23cm、ホイールベースが21cmも小さい。限られた寸法の中で、この存在感をかなえたデザイナーには、本当に拍手である。拡大
「ジムニー/ジムニーシエラ」は、スポーティーな全体のフォルムからこだわりの感じられるディテールまで、とにかく“やり切った”感のあるデザインに仕上がっていた。
「ジムニー/ジムニーシエラ」は、スポーティーな全体のフォルムからこだわりの感じられるディテールまで、とにかく“やり切った”感のあるデザインに仕上がっていた。拡大
明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

さまざまな自動車のデザインにおいて辣腕を振るう、現役のカーデザイナー。理想のデザインのクルマは「ポルシェ911(901型)」。

永福ランプ(えいふく らんぷ)
大乗フェラーリ教の教祖にして、今日の自動車デザインに心を痛める憂国の士。その美を最も愛するクルマは「フェラーリ328」。

webCGほった(うぇぶしーじー ほった)
当連載の茶々入れ&編集担当。デザインに関してはとんと疎いが、とりあえず憧れのクルマは「シェルビー・コブラ デイトナクーペ」。

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