真の競合は“よその自動車メーカー”ではない

例えば米ウーバー・テクノロジーズが提供するライドシェアリングサービスは、「いつでも」「どこでも」「すぐに」「誰でも」「割安に」「多様な選択肢の中から」移動手段を提供するという点で、自家用車より格段に優れている。また最近普及し始めた「クルマを利用する権利」を「月単位の定額料金」などで提供する「サブスクリプション契約」は、普段はセダンに乗っていても、必要なときに多人数乗車の車種に交換できるなど、「多様な選択肢」という点で従来の「自家用車を購入する」という利用形態よりも自由度が高い。

自動運転技術が実用化すれば、必要なときにクルマを呼び出して利用する「無人タクシー」が実用化され、現在のライドシェアやサブスクリプション契約よりも、さらに安く、より利便性の高い、しかもより多様なサービスが提供されるようになると予想されている。自動運転車を使って試験的な移動サービスを提供し始めているグーグルや、ライドシェアリングサービス大手のウーバー、中国滴滴出行などのサービスプロバイダーが注目されているのはこのためだ。
 
こうした分野で勝ち抜くために重要なのは、消費者にとって価値の高いサービスを生み出す能力であり、繰り返しになるが、自動運転やEVはそのための手段に過ぎない。しかし日本の完成車メーカーはこうした能力に乏しい。クルマを作って売るというビジネスモデルが100年以上変わっていない自動車業界は、新しいビジネスモデルを生み出してきた経験に乏しく、それに適した人材も足りない。真の競合相手は海外の完成車メーカーではなく、グーグルや、ウーバーや、アマゾンといった、ユーザー目線で新しいサービスを生み出すことに長(た)けたIT企業だろう。

各社が血道を上げて開発に取り組んでいる電動化技術も自動化技術も、あくまでもサービスを提供するための“手段”にすぎない。写真は2018年のニューヨークショーに展示された、ウェイモとジャガーが共同開発した自動運転の電気自動車。
各社が血道を上げて開発に取り組んでいる電動化技術も自動化技術も、あくまでもサービスを提供するための“手段”にすぎない。写真は2018年のニューヨークショーに展示された、ウェイモとジャガーが共同開発した自動運転の電気自動車。拡大
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