日本の完成車メーカーは“価値”を生み出せるか

そう考えてくると、日本の完成車メーカーは、これまでとは全く違う戦い方をすべきではないか。IT企業が得意とするサービス分野での直接対決を避け、サービスプロバイダーに車両というハードウエアを供給する立場に徹するというのも一つの方向だろう。日本の完成車メーカーはこうしたビジネス形態をIT企業の「下請け」になるとして忌み嫌ってきた。しかし、すでに電機産業や半導体の世界では、製品の製造をEMS(受託製造専門サービス企業)やファウンドリ(半導体製造を専門に手がける企業)のような企業に委ねることが当たり前になっている。例えば、完成車メーカーの機能を設計・開発と製造に分け、製造会社は他社からの依頼を積極的に受けるというような形だ。

もちろん、自社開発の商品をやめる必要はないが、開発と製造が一体のままでは、他社はおいそれとは製造を委託してくれないだろう。また開発部門自体についても、他社の企画を基に開発を受託するという形態もあっていい。自社でサービスを手がけるという方向はもちろん必要だが、それでも、すべてのサービスを自社で手がけるのは難しいだろう。

「完成車メーカー」という形態を一度バラバラにして、外部の企業と組みやすいように企業の構造そのものを見直すくらいの大胆な改革が、完成車メーカーには求められている。

(文=鶴原吉郎<オートインサイト>/写真=トヨタ自動車、webCG/編集=堀田剛資)

握手を交わすトヨタの友山茂樹副社長と、ウーバーのダラ・コスロシャヒCEO。トヨタは自動運転技術を活用したライドシェアサービスの実現を目指し、ウーバーとの協業を拡大。さらに同社に5億ドルを出資すると発表した。モビリティーがサービス化した時代において、完成車メーカーはどのように生き残り、どこに役割を見いだすか、各社が模索を続けている。
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