きっかけは1989年の消費税導入

ワゴンRの開発が最初にスタートしたのは1987年ごろであった。この時には、「スズキ・アルト」の背を高くしたようなデザインが検討された。

ただし、この時代の軽自動車は、アルトや「ダイハツ・ミラ」といった、軽商用車のボンネットバンが売れ筋だった。消費税導入前は、車両価格には卸値に課税される物品税が上乗せされ、この税率が軽乗用車は15.5%、軽商用車は5.5%であった。そこで売れ筋の軽自動車は商用車規格で開発され、価格を安く抑えていた。これを最初に行ったのが1979年に発売された初代アルトで、価格は47万円と安かった。

この手法を用いると商用車の要件が適用されるから、後席よりも荷室の面積を広く取らねばならない。荷室を広げれば後席は狭まり、当時のボンネットバンの居住性は、実質的にクーペと同等であった。仮に背の高い軽自動車を開発しても、ボンネットバンでは4人で快適に乗車するのは難しく、商品化には至っていない。

この流れが変わったのが1989年だ。消費税が導入されると物品税は廃止され、軽商用車の規格で開発する必要はなくなった。アルトやミラも乗用車に移行している。

そこで前述のミニカトッポが発売され、スズキも1991年に「アルトハッスル」を投入した。アルトの天井を高めたワゴンで、バンと乗用車を用意している。

ここであらためてワゴンRの企画が浮上した。乗用車ならば後席の足元空間を大幅に広げることができ、4人乗車の快適な軽自動車を造れるからだ。

それでも前例のないクルマだから、売れるかどうかは分からない。コスト低減が重視され、ハンドルやATレバーはアルトと「セルボ」、パワーウィンドウのスイッチとヘッドレストは「エスクード」、リアゲートは「エブリイ」という具合に、当時のスズキ車と共通化させた。部品の共用化率は70%に達する。開発と製造を安く行うことで、販売不振に陥っても痛手が少ないように配慮した。

2代目「ワゴンR」は1998年10月に登場。キープコンセプトの外観ながら、初代よりも若干丸みを帯びたスタイルに。
2代目「ワゴンR」は1998年10月に登場。キープコンセプトの外観ながら、初代よりも若干丸みを帯びたスタイルに。拡大
2003年発売の3代目では、モデルライフの終盤でコワモテフェイスの「スティングレー」が追加された(写真はノーマル)。
2003年発売の3代目では、モデルライフの終盤でコワモテフェイスの「スティングレー」が追加された(写真はノーマル)。拡大
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