まずは法整備が必要不可欠

その理由は、自動運転を受け入れるための法整備が遅れていること。例えば日本では、道路交通法上はレベル2の自動運転が可能で、実際にその恩恵にあずかっている人は多いはずだ。しかし、レベル3の自動運転については、運転席でクルマの動きを監視しながらの公道実証実験は可能だが、実用化についてはルールづくりができていないというのが現実だ。また、日本が批准している道路交通に関する条約である「ジュネーブ条約」でも、レベル3の自動運転を認めていないのだ。

一方、ドイツはジュネーブ条約に加盟せず、「ウィーン条約」のみに加入しているが、このウィーン条約で自動運転を認める改定があったことを受けて、ドイツでも国内法を改正、自動運転が合法化されている。しかし、自動車の国際的な認証について話し合う国連欧州経済委員会(UN-ECE)の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、現在の基準では10km/h以下の自動操舵しか認めておらず、このためドイツでもアウディAIトラフィックジャムパイロットが搭載できないというのが現状である。

つまり、アウディAIトラフィックジャムパイロットが現実のものになるには、自動運転に関する国内外の法整備が必要であり、2020年までにレベル3を実現したいとする日本でも、いましばらくはアウディAIトラフィックジャムパイロットが用意されることはないだろう。

しかし、アウディがAIトラフィックジャムパイロット実現のために開発した新型センサーや制御技術の中には、すでに新型A8に搭載されているものもあり、アダプティブクルーズコントロールやアクティブレーンアシスト、トラフィックジャムアシストを統合したアダプティブドライブアシスタントは、従来のシステムに比べて大幅に精度が向上している。レベル3の実用化に一歩一歩近づいているのは確かである。

(文=生方 聡/写真=アウディ ジャパン/編集=藤沢 勝)

実際にレベル3の自動運転を運用するには、万が一に備えた電装系などのバックアップ(予備)システムが必要となるため(現状は未実装)、法改正後にソフトウエアをアップデートすれば……というわけにはいかないようだ。
実際にレベル3の自動運転を運用するには、万が一に備えた電装系などのバックアップ(予備)システムが必要となるため(現状は未実装)、法改正後にソフトウエアをアップデートすれば……というわけにはいかないようだ。拡大
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