ダウンサイジングか、ライトサイジングか

フォルクスワーゲンは、同じ1.4リッターでターボのみを使ったシングルチャージャー仕様のTSIも開発した。出力ではツインチャージャーに劣るものの、優れた燃費性能を誇る。さらに小さな1.2リッターターボもラインナップに加え、幅広いラインナップでダウンサイジングコンセプトを進めていった。BMWやメルセデス・ベンツ、プジョー、ルノー、フォードなども、同様のターボエンジンを開発し、ダウンサイジングターボがマーケットに受け入れられていった。

現在ではターボラグという言葉はほとんど死語になっている。ダウンサイジングターボはフラットトルクが特徴で、ドライバビリティーに優れる。1000rpmを超えたあたりからターボが効き始め、タービンの回転とスロットル操作を監視しながら効率よく燃焼をコントロールする。工作精度が高まったことで部品は小さく軽くなり、排気流速が低い段階から、スムーズにタービンが回転し、過給が得られるようになった。

エンジンの考え方を一変させたダウンサイジングは世界的なトレンドとなったが、別の方向性も生まれている。2015年に登場した5代目「アウディA4」の2リッターガソリンターボエンジンは、ライトサイジング(排気量適正化)と呼ばれる考え方を採用している。中負荷領域での燃費性能を高める狙いだ。「マツダCX-3」は2018年のマイナーチェンジでディーゼルターボエンジンの排気量を1.5リッターから1.8リッターに拡大した。トルクアップ効果で走りに余裕が生まれ、実燃費が向上するという。

現在はダウンサイジングとライトサイジングが併存しているが、どちらも効率向上を目指すという点で目標は同じだ。かつてガソリン大食いの代名詞だったターボは、環境対応エンジンの旗手に変身を遂げた。同じ技術でも、発想を変えればまったく異なる効果を生むことができる。ハイパワー信仰から脱したことで、ターボは新しいコンセプトを打ち立てることができた。

(文=webCG/イラスト=日野浦 剛/写真=BMW、FCA、アウディ、スバル、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、ポルシェ)

2013年に登場した7代目「フォルクスワーゲン・ゴルフ」には、1.4リッターと並んで、1.2リッターのTSIエンジンがラインナップされていた。
2013年に登場した7代目「フォルクスワーゲン・ゴルフ」には、1.4リッターと並んで、1.2リッターのTSIエンジンがラインナップされていた。拡大
フィアットのコンパクトモデル「500」と、同車に搭載される0.9リッター直2ターボエンジン「ツインエア」。Bセグメント以下のモデルでは、排気量のダウンサイジングに加え、3気筒や2気筒へのレスシリンダー化も進んでいる。
フィアットのコンパクトモデル「500」と、同車に搭載される0.9リッター直2ターボエンジン「ツインエア」。Bセグメント以下のモデルでは、排気量のダウンサイジングに加え、3気筒や2気筒へのレスシリンダー化も進んでいる。拡大
2015年に登場した5代目「アウディA4」。
2015年に登場した5代目「アウディA4」。拡大
5代目「アウディA4」に搭載される2リッター直4ターボエンジン。従来モデルより41psの出力向上と20Nmのトルクアップを果たしながら、14%の燃費改善も実現している。
5代目「アウディA4」に搭載される2リッター直4ターボエンジン。従来モデルより41psの出力向上と20Nmのトルクアップを果たしながら、14%の燃費改善も実現している。拡大
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