デザイナーにとってチャレンジング

そうして完成した新型V60はパッと見、先行デビューした上級ワゴン「V90」によく似ている。もちろん違う車種である以上、フロントグリルやヘッドランプ、リアコンビランプ、サイドのキャラクターラインなど、ディテールの違いはたくさん挙げられるが……かくも見た目が“そっくりさん”だと、ユーザーから飽きられてしまう恐れはないだろうか?

「デザインランゲージを車種間で統一すべきか、それとも別々にするかということは、これまで常に考えられてきた大きな問題なんです」としながらも、メイヤー氏は、ことV60についてはネガティブな側面はないという。

「ボルボのようなさほど規模の大きくないメーカーにとって、それぞれの車種を兄弟のように見せて一貫したブランドイメージを構築するのは、大事なことなのです。現実には、V90は“子どもが独立した熟年層”、V60は“若い家族”というように、それぞれの客層やライフステージは異なりますから、個々のユーザーに飽きられてしまうということはないのです」

では、デザイナーであるメイヤー氏自身は? 退屈に感じたり、フラストレーションになるようなことは……?
「いえ、プラットフォームが同じで、しかもブラザーのように見せなければならないクルマ同士で違いを出すというのは、デザイナーとしてむしろチャレンジングなことですよ(笑)」

そんなメイヤー氏にとってのカーデザインの理想は、「ピュアで、シンプルで、ビューティフルで、かつダイナミックであること」。そしてそれは、目の前にある新型V60でもしっかり表現できているように思える。新型V60は、さぞや会心の作品なのでしょう、と思いきや、セダン「S60」の新型や電動車「ポールスター1」のほうがお気に入りであるらしい。ちなみに、メイヤー氏が一番好きなデザインのクルマは、“最後の空冷ポルシェ”となった「911カレラ」の「タイプ993」だそうだ。

「将来的な商品計画に関わることは何も言えない」と断りながらも、「これから電動化や自動運転といった課題に取り組む中で、自動車は変わっていくでしょう。そうした世の動きに合わせて、カーデザインも変化するはず」と語るメイヤー氏。これからどんな新型ボルボが出てくるのか、楽しみに待ちたい。

(文と写真=関 顕也)

「V90」(写真左)と「V60」(同右)のスライドを前に、デザインの共通点と相違点を解説するメイヤー氏。後発のV60の方がより洗練されていると説明する。
「V90」(写真左)と「V60」(同右)のスライドを前に、デザインの共通点と相違点を解説するメイヤー氏。後発のV60の方がより洗練されていると説明する。拡大
車体中央に向かってクサビ形の突起が設けられた「V60」のヘッドランプ。目頭を思わせるディテールで、より人間的なイメージが表現されている。
車体中央に向かってクサビ形の突起が設けられた「V60」のヘッドランプ。目頭を思わせるディテールで、より人間的なイメージが表現されている。拡大
ボルボのデザインスタジオにおける作業風景(説明用のスライド資料から)。かつてフォードにも在籍したメイヤー氏は、「デジタルでの設計が非常に進んでいる」とボルボの開発環境を評する。
ボルボのデザインスタジオにおける作業風景(説明用のスライド資料から)。かつてフォードにも在籍したメイヤー氏は、「デジタルでの設計が非常に進んでいる」とボルボの開発環境を評する。拡大
日本では2018年9月25日にデビューした2代目「ボルボV60」。本国では、これをベースとするクロスオーバーモデル「V60クロスカントリー」の新型も発表されている。
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