小林彰太郎氏に異議あり!
ところで、アペの整備はどうしているのか?
「ベスパを直せる腕があれば、大抵のアペは自分で修理できる」のだそうだ。
2018年9月22日に発表されたアペ50の改良型が欧州排出ガス基準ユーロ4を達成しながら、依然として2サイクル&キャブレター仕様を採用しているのは、そうした整備性を考慮したものである。それはピアッジョ社の広報担当者も認めるところだ。
アペが70年も生き延びている背景には、こうしたユーザーフレンドリーな配慮がある。
ふと思い出したのは1990年代前半、自動車雑誌『カーグラフィック』の初代編集長・小林彰太郎氏のもとで部下として働いていたときのことである。
出張中の車内で何度か「もし無人島に1台だけクルマを持っていくことが許されるなら」という話題が飛び出した。
そうしたときに小林氏が選んだのは常に「メルセデス・ベンツEクラス」(W124)だった。今も名作として語り継がれるモデルである。
当時、ボクの実家にも1台、W124があったので、あるゆる面でバランスがとれた素晴らしいクルマであることは承知している。でもヤナセの代わりに、自分でW124を直せる自信はない。
ジョヴァンニさんの話を聞いた今、天国の小林氏には悪いが、ボクだったらW124よりもアペを無人島に持ってゆく。それに何より、海岸に向かって丘を駆け下りるとき、エアコンが効いたクルマよりも、アペで海風を感じながらブンブン走っていったほうが気持ちいいではないか。
(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=藤沢 勝)

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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