SUVやオープンカーは実現可能

そういう意味で、二輪も三輪も四輪も全方位的に網羅しようとしているヤマハのモビリティーには要注目だ。ファンライドとイージードライブを両立してしまったナイケンのような三輪車が二輪車のシェアに食い込んでくることは間違いなく、今後電子デバイスの充実が図られ、排気量や車体サイズにバリエーションが加われば大きなマーケットを築いていくことになるはずだ。

そうやって二輪にはない快適性や積載性、走破性のレベルが引き上げられていくと、その延長線上には当然四輪の展開が控えているが、ヤマハにとってそれがまったく未知のものかといえばそんなこともない。

前述のMWC-4は“ナイケンの四輪版”とも呼べる機構を持つ新しい試みながら、すでに北米で大きなシェアを持つスポーツビークル「YXZ1000R」は構造的には四輪であり、ダカールラリーのクアッド部門では連覇を達成するなど、実績は十分。そのノウハウをストリートに落とし込むことができたならSUVにもオープンカーにもシティーコミューターにも成り得る可能性を秘めているはずだ。

では、二輪はどうなっていくのか?

三輪と四輪の台頭によってその肩身が狭くなりそうだが、やはり軽量コンパクトさを突き詰めた際のスポーツ性においては、それらを圧倒。車体をバンクさせ、スロットル開度を探りながらトラクションを引き出す爽快さは二輪ならではの世界だ。そもそも不安定な成り立ちの車体をいかに乗り手が安定させるか。その“手なずけ感”は三輪や四輪では得難く、ある種のスリリングさにこそ醍醐味がある。

いずれにしても、タイヤの数や搭載されるパワーユニットにかかわらず、ヤマハは常に「人機一体」のフィーリングを追求してきた。それが今後も忘れられない限り、われわれのように趣味としてスロットルを握り、アクセルを踏む人種の心を満たしてくれるに違いない。

(文=伊丹孝裕/写真=ヤマハ発動機/編集=関 顕也)

ユニークでありながら現実的なSUVのルックスで、東京モーターショー2017の来場者に「あっ」と言わせたヤマハのコンセプトモデル「クロスハブコンセプト」。こうしたクルマが実際に製品化される日も、意外に近いかもしれない。
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