日産リーフNISMO(FF)
航続距離も大事だけれど 2018.10.25 試乗記 日産の電気自動車(EV)「リーフ」に、スポーティーな走りが身上の「NISMO」バージョンが登場。世にも珍しい電動ホットハッチはどのような走りを見せるのか? “エコ”と“楽しさ”を同時にうたう一台の出来栄えを確かめた。誕生の経緯に思いをはせる
EVはリーフにかぎらず、「エコです、未来です」という主張に加えて、いまだに「だから普通に使えますってば!」といった説明をいちいち求められる空気が根強く残る。いっぽう、NISMOとは現在の日産市販商品でスポーツテイスト……いわば“遊び”に特化したシリーズである。
というわけで、リーフにNISMO……と聞いて、急進的EV否定派などは「EVでスポーツなんて不謹慎だ!」と勝手に憤慨するかもしれない(笑)。まあ、そこまで強い感情でなくても“EVのスポーツモデル”という存在そのものが新しすぎて、どう受け入れていいのか困惑する向きもあろう。
ただ、世界初の本格量産EVであるリーフも初代登場から8年以上が経過して、現行型はすでに2代目だ。早期からEVを普通に使っているユーザーにとってはEVであることはもはや大前提で、そのうえで「なんか、もっと面白いものはないの?」と思いはじめても不思議ではない。同時に、EVがこれだけ快適かつ便利に使える存在になって、しかも当局がこんなに後押ししても、いまだに普及が遅々として進まない現状を見れば、メーカー側が「なんか、起爆剤を!」とワラにもすがる思いでいても不思議ではない。
というわけで、リーフNISMOである。日産におけるNISMOはなるほど本格スポーツブランドではあるのだが、その定義は良くも悪くも“ゆるい”のが特徴だ。それを名乗るための条件は、たとえばホンダの「タイプR」ほどハードルは高くなく、またトヨタの「GRスポーツ/GR/GRMN」のように、イジリの範囲を厳格に定めて名称を変えたりしない。ただ、内外装の仕立てだけではなく、シャシーにはそれなりに本格的な手を施して、ときにはパワートレインもなにかしらの部分を専用とする(その専用レベルはかなり幅があるにしても)ことが、NISMOを名乗る一応のお約束のようであるが……。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |