始まりは学位論文

クルマの歴史を振り返っても、“フュージョン”を試みる向きは長年数々存在した。

代表的なのは1960年代のアメリカである。かのフェラーリのエンジンを平気でシボレー製に換装する例が数々あった。

それは信頼性やレースとの相性といった背景によるものだが、今日そうしたフュージョンは、主に粋なジョーク的意味合いで行われていることが多い。

写真4および5は2018年3月のジュネーブモーターショーに出展されていたスイスのチューナーによる「メアニー2.0T」である。一見、元祖MINIであるが、フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフGTI」の220psエンジンがミドシップされている。

プロジェクトの始まりは、応用科学大学で機械工学を専攻していたラファエル・ファイエルリさんによる「クラシックカーの形態を用いたミドエンジン・スポーツ」という学位論文だった。

やがてラファエルさんは自らの夢をカタチにすべく、チューリッヒのショップ「エミール・フレイ・クラシックス」に掛け合った。そして実現したのが、このメアニー2.0Tというわけである。

ボディーには古いMINIの改造ではなく、現在ブリティッシュ・モーター・ヘリテージがリプロダクションとして生産・供給しているシェルを使用した。

スペックを見ると最大トルク340Nm/5800rpm、0-100km/h加速は4秒以下、最高速200km/hと勇ましい数字が並ぶ。ファイエルリさんは、EUの少量生産車向けレギュレーションへの適合を目指している。

写真4。一見、元祖MINIであるが……?
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写真5。「ゴルフGTI」のパワーユニットを後部に搭載したモンスターであった。ラファエル・ファイエルリさん(写真)の卒業論文をカタチにしたものである。2018年3月ジュネーブモーターショーで。
写真5。「ゴルフGTI」のパワーユニットを後部に搭載したモンスターであった。ラファエル・ファイエルリさん(写真)の卒業論文をカタチにしたものである。2018年3月ジュネーブモーターショーで。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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