同じフラット4ということで……

次はわが家と同じイタリア中部シエナ県で「VWビートル」のチューナーを営むジョヴァンニ・デイさんの作品である。

デイさんは地元で開催されるVWインターナショナルミーティングのオーガナイザーでもある。

このイベント、毎年クソ暑い夏の真っただ中にもかかわらず、欧州各地から冷房無し・三角窓だけの空冷VWが参集するという、知る人ぞ知る人気イベントである。

その彼が2015年のミーティングに持ち込んだのは、2トーンであること以外、一見何の変哲もないビートルであった。

そのデイさんが後部に回るよう手招きした。ついて行ってみると普通のビートルのエンジンルームと、やや光景が違う。デイさんは笑いながらすかさず教えてくれた。

「『アルファ・ロメオ・アルファスッド』のエンジンを載せてみたんだよ」。スペックや効果は明らかにされていないが、「同じフラット4を積んでみました」という、わかる者だけがわかるしゃれである。

もっと歴史をさかのぼれば、アルファスッドの主任設計者であったルドルフ・ルスカはウィーン工科大学卒で、第2次大戦前ポルシェ設計事務所でビートルの開発計画にも参画している。そうした意味で、デイさんの試みは、単に奇天烈(きてれつ)とは片付けられない。

空冷VWのスペシャリスト、ジョヴァンニ・デイさん。
空冷VWのスペシャリスト、ジョヴァンニ・デイさん。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など数々の著書・訳書あり。

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