実は“なんちゃって”だった

しかしながらこうした類いのジョークで最高だったのは、つい先日パリモーターショー2018の特別展示で発見した一台で、「Routes Mythiques(伝説の道)」と題された歴史車の特集に展示されていたものだ。

なにやら勇ましいロールス・ロイス(RR)の「コーニッシュ」である。1981年のパリ-ダカール仕様という。スペックを読んで仰天した。エンジンはシボレーのV8 5750cc。それに「トヨタ・ランドクルーザー」の駆動系を組み合わせたものである。

構想の始まりは1980年のある日、ティエリー・ド・モンコルジェ氏と仲間たちの食事中の何気ない会話だったという。

彼らはその冗談ともとれる計画を実現してしまった。チューブラーフレームを溶接。そこにかぶせるコーニッシュを模したボディーはグラスファイバーで製作し、フロントフードおよびドアにはアルミを用いた。パワーステアリングや容量400リッターの燃料タンクも搭載した。

1981年のパリ-ダカールラリーではアフリカ区間にまで達したものの、フロントアクスル破損でリタイアを喫した。しかし、その奇妙なルックスをマスコミは興味をもって採り上げた。記録によれば当時、記事にして1800あまりが掲載され、テレビでは150回も報じられたという。

ティエリー・ド・モンコルジェ氏が製作した1981年「ロールス・ロイス・コーニッシュ」のパリ-ダカール仕様。2018年10月パリモーターショーで。
ティエリー・ド・モンコルジェ氏が製作した1981年「ロールス・ロイス・コーニッシュ」のパリ-ダカール仕様。2018年10月パリモーターショーで。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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