現状に即し、未来を見据えた議論をすべき

豊田会長は、日本の経済力や雇用、ものづくりの競争力の維持には、年間1000万台規模の国内生産が必要で、そのためにも自動車保有のためのコストの引き下げが経営を支える糧になると述べており、また普通乗用車の税金を軽自動車に合わせれば国際基準になるという見解も示している。豊田会長の名のもとに提出された「平成31年度税制改正に関する要望書」によると、自動車税制は自工会の重点要望と位置づけられており、数多くの議題が提起されている。中には以下のような項目が列挙されている。

  • 保有課税の簡素化・負担軽減(自動車税、自動車重量税)
  • 取得時課税の簡素化・負担軽減
  • 期限切れ租税特別措置の延長(エコカー減税、グリーン化特例など)
  • 中長期的な抜本的な簡素化・軽減(保有段階での一税目化など)

これを見るだけでも分かるとおり、問題は山積みである。さまざまな財源を過度に自動車ユーザーに押し付けてきた自動車関連税制の複雑な連立方程式を解くことは、一筋縄ではいかない。

そもそも、自動車税ひとつをとっても、内燃機関のダウンサイジング化が進む中で「排気量区分ではなく欧州のようにCO2排出量で区分する」という議論もあってしかるべきだ。またパワートレインの電動化が推し進められる現状を思えば、エコカー減税(自動車重量税:免税、自動車取得税:非課税)+グリーン化特例(自動車税:75%減税)などといった電気自動車の優遇税制のあり方も、見直す必要がある。充電設備などのインフラ投資も必要な状況下で、いつまでこのやり方を続けるのか。排気量やCO2排出量では区分できない、電動車に対する一定のルールを検討するべきタイミングに来ているだろう。

以前、豊田会長は今の自動車業界を「100 年に一度といわれる大変革の時代に直面している」と話していた。自動車税制改革もまさにそれで、これまでのやり方の延長線上には、きっと答えはないだろう。平成が終わり、東京オリンピックが開催される、歴史的なタイミングだからこその勢いをうまく活用しての抜本的な改革が期待される。

(文=藤野太一/写真=トヨタ自動車、webCG/編集=堀田剛資)

自動車の電動化が進み、新しい利用の仕方が模索されている現状を思うと、自動車にまつわる税制については、現在の税制をベースに考えるのではなく、より抜本的な議論が必要になるのではないだろうか。
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