誕生の経緯に見る“オリジナル”との類似性

発売当初、カタナはフラッグシップにふさわしい111psのパワーと237km/hのトップスピードによって世界最速の座も手に入れた。ただしそれもつかの間、程なく水冷エンジンが主流になると空冷のカタナは劣勢を強いられ、19インチのフロントタイヤも前時代的なものになった。そもそもカタナは「GSX1100E」(1980年)をベースとする一種の派生モデルだ。ターゲットデザインの外装に交換したメーカーカスタムと言ってもよく、引いた目で見れば機能的にはそれほど抜きんでた存在ではなかった。

にもかかわらず、「ファイナルエディション」が生産された2000年までファンを魅了し続けたのは、やはりそのデザインが唯一無二だったからに他ならない。ヒット作が出れば、遅かれ早かれフォロワーを生み出すものだが、カタナに関してはあまりに突出していたせいで他メーカーの追随を許さず、なによりスズキ自身がそこに大きな手を加えることをためらった。

1980年の時点でほぼ完成の域に達していたカタナという世界観。それを再構築し、あらためて世に問うには38年、ファイナルエディションから数えても18年という年月が必要だったということだろう。

……というわけで、ようやく新型カタナの話だが、単に名前が復活しただけにとどまらず、実は出自も“オリジナル”に通じる部分がある。きっかけは2017年のインターモトでのことだ。イタリアの雑誌『モトチクリスモ』が、新時代のカタナをデザイナーのロドルフォ・フラスコーニに依頼。その制作をエンジンズ・エンジン社が請け負い、「カタナ3.0コンセプト」という名で出展したことに端を発する。当初は誌面の一企画にすぎなかったものの、そこで得られた大きな反響がスズキを動かし、急きょ市販化へ向けて舵が切られることになったのだ。

「カタナ」シリーズには上級モデルのイメージを取り入れた小・中排気量モデルも存在した。写真は1991年デビューの「GSX250Sカタナ」。
「カタナ」シリーズには上級モデルのイメージを取り入れた小・中排気量モデルも存在した。写真は1991年デビューの「GSX250Sカタナ」。拡大
1992年に登場した「GSX400Sカタナ」。
1992年に登場した「GSX400Sカタナ」。拡大
2000年式「GSX1100Sカタナ」。同年を最後に、“オリジナル”の「カタナ」は生産終了となった。
2000年式「GSX1100Sカタナ」。同年を最後に、“オリジナル”の「カタナ」は生産終了となった。拡大
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