料金は“新幹線”の半額

2018年10月、女房の取材のお供で南部ナポリへ行くことになった。わが家のあるイタリア中部シエナは治安が良く、風光明媚(めいび)な街であるが、交通の便という意味では決して恵まれていない。

まずアウトストラーダ(高速道路)が通っていない。小さな飛行場は存在するのだが、約10年前に市議会は周辺環境の静寂さを保つことを優先して、民間路線の乗り入れを拒否する決議をした。そのため、事実上はプライベート機や救難機専用である。

日本の東海道新幹線に相当する半島縦断の高速列車「フレッチャロッサ」や「イタロ」も通過していない。

それらに乗車するには、ローカル線でフィレンツェまで約60km北上しなければならない。その60kmも問題だ。時間帯によっては運行間隔が1時間以上。さらに、そのような短い距離にもかかわらず、フィアット製の古い気動車でトコトコと約1時間半を要する。

そこでボクが着目したのがフリックスバスだ。調べてみると、なんとシエナからローマ経由でナポリまで路線があるではないか。便を選べば、乗り換えも不要だ。

フリックスバスの料金は、飛行機のように空席数や季節によってかなり変動する。公式サイトで調べてみると、ボクの利用予定日は座席指定(1.5ユーロの追加料金)をしても、片道17.5ユーロ(約2250円)だった。鉄道なら、いくら安い時期でもその倍額はかかる。

ボクが閲覧した時点では1日に4本の便があった。距離は約430km、所要時間は乗り換えなしで6時間15分だ。決して短くないが、鉄道駅での乗り換え時間やイタリア名物の遅延等を考えると、フリックスバスは1時間ちょっと多く要するだけである。

画面でクレジットカード決済をすると、即座にスマートフォン用のQRコード乗車券が送られてきた。Appleのウォレットにも対応している。利用者が自らプリンター出力する荷物タグも送信されてきた。

車両は、ダイムラーの商用車ブランドのひとつであるゼトラ。
車両は、ダイムラーの商用車ブランドのひとつであるゼトラ。拡大
日ごろ自分で運転していては見られない角度から陸送車を眺めるのも面白い。
日ごろ自分で運転していては見られない角度から陸送車を眺めるのも面白い。拡大
ローマ市内にて。どこまでが捨ててあるクルマか、どこまで現役かわからない。路上広告がスマートなのは、取り回しや駐車性が重要視されるローマならではである。
ローマ市内にて。どこまでが捨ててあるクルマか、どこまで現役かわからない。路上広告がスマートなのは、取り回しや駐車性が重要視されるローマならではである。拡大
ローマのティブルティーナ・バスターミナル。イタリア国内はもとより東ヨーロッパなどへのバスも多く出ている。フィウミチーノ空港行き電車にも直結している。
ローマのティブルティーナ・バスターミナル。イタリア国内はもとより東ヨーロッパなどへのバスも多く出ている。フィウミチーノ空港行き電車にも直結している。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など数々の著書・訳書あり。

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