ロックアップと電子制御で燃費が向上

日本では1970年代から1980年代にかけて急速にAT化が進んだ。現在ではMTは一部のモデルにしか設定されていない。運転免許もAT限定を選ぶ人が増えている。免許の種別では、2ペダルであればATとみなされるので、CVTや自動MT、デュアルクラッチ式トランスミッションなどもAT限定免許で運転できる。

また、過去にはATは燃費の点でMTには及ばないといわれていた。トルクコンバーターは流体を使うために、どうしても伝達ロスが生じてしまうからだ。この欠点を補うために導入されたのがロックアップ機構で、走行中は入力軸と出力軸を直結してロスを防ぐ。トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを用いるタイプも登場した。以前はATをひとくくりにして「トルコンAT」と呼ぶこともあったが、最近では主に「ステップAT」というようになった。トルコン=トルクコンバーターを使わないものが出てきたからである。逆に、CVTなどにトルコンが使われる例も増えている。

1980年代からは制御の電子化も進み、走行状態を考慮してロックアップの作動域を拡大させたり、変速プログラムを切り替えたりすることで、燃費の改善と応答性の向上、変速ショックの低減を同時に実現した。マニュアルモードを備えるタイプも増え、ATでもスポーティーな走行が可能になっている。

21世紀に入ってからのトレンドは多段化である。今では10段ATまで登場し、11段の開発も進められている。ATの進化は、ドライバーがトランスミッションの存在をほとんど意識せずにいられるレベルに達している。

(文=webCG/イラスト=日野浦 剛/写真=ゼネラルモーターズ、ダイムラー、トヨタ自動車、日産自動車、フォード、フォルクスワーゲン、ポルシェ、マツダ)
 

今日ではトルコン式ATのほかにも、さまざまな2ペダルトランスミッションが存在している。写真はフォルクスワーゲン製のデュアルクラッチ式AT「DSG」。2003年に初めて市販車に採用された。
今日ではトルコン式ATのほかにも、さまざまな2ペダルトランスミッションが存在している。写真はフォルクスワーゲン製のデュアルクラッチ式AT「DSG」。2003年に初めて市販車に採用された。拡大
トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを用いたメルセデス・ベンツの「AMGスピードシフトMCT」。
トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを用いたメルセデス・ベンツの「AMGスピードシフトMCT」。拡大
1981年にトヨタが「クラウン」にマイコン制御式4段ATを採用して以来、トランスミッションの電子制御は急速に進化。1994年に登場した「三菱FTO」の5段ATには、ドライバーの運転の“くせ”を記憶する学習機能が搭載されていた。
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トヨタが「レクサスLC/LS」に採用しているトルコン式10段AT。もはや高級車用のトランスミッションでは、8段以上の多段ATが主流となっている。
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