デザインに見え隠れする“良心”

ほった:素朴なギモン、なぜタイヤサイズを上げなかったんでしょう?

永福:まあ、ユーザーとしてはタイヤサイズはあんまりむやみに大きくしてほしくはないですけどね。大きいほうが見た目はカッコよくなるけど、タイヤ交換のコストがどんどん上がっていく。偏平(へんぺい)率をどんどん下げるのも困ります。

ほった:フォレスターにとっては雪道もすごく重要なので、スタッドレスへの交換率も高いでしょうしねえ。

永福:そういう意味では、タイヤサイズを据え置いたのは良心的だよね。

明照寺:ただ、デザイナーとしてはもっと大きなタイヤサイズを希望していたはずです。

永福:なるほど。じゃ、ユーザーのニーズを考えて据え置いたってことかな? だとしたらスバルらしい質実剛健さだけど。

明照寺:例えば、フォレスターと競合する「ホンダCR-V」は、もっとタイヤの直径が大きいはずですよ。

ほった:CR-Vのタイヤサイズは、235/60R18ですね。日本仕様は。

永福:えーと、2まわり上って感じかな。

明照寺:タイヤの直径が大きい分、バランス的にもスポーティーに見えますよね。

永福:確実にスタイリッシュに感じます。でも、フォレスターのタイヤの小ささも嫌いじゃない。なにかこう、スバルらしい不格好なカッコよさという感じで。初代「レオーネ」なんかそうだったじゃないですか。あれは本当にカッコ悪くて、でも雪国で見ると逆にカッコよく見えた。

明照寺:僕は年代的に、初代レオーネの実体験はほぼないですけど(笑)。良心的といえば、フォレスターは実際に運転席に座ってみると視界がいいんですよ。非常に実用性を重視しているんだと思います。こういうSUVって、北米だと高齢者とか女性ユーザーも多い。日本でのコンパクトカーとか軽自動車とか、そういうターゲットに結構近かったりするんです。視界にこだわるところは、スバルというメーカーの良心でしょうね。

ほった:「ボディーサイズは拡大したのに、なんでタイヤサイズは据え置きにしたんですかね」
明照寺:「デザインの段階では、もうちょっと大きいタイヤを想定していたかもしれませんね」
(写真=荒川正幸)
ほった:「ボディーサイズは拡大したのに、なんでタイヤサイズは据え置きにしたんですかね」
	明照寺:「デザインの段階では、もうちょっと大きいタイヤを想定していたかもしれませんね」
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雪上コースを走行する現行型「フォレスター」の試作車。タイヤは大きいほうがスポーティーに見えるが、冬季にタイヤを履きかえる降雪地のユーザーにとっては、交換費用が頭痛の種となる。
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2018年8月に発売された「ホンダCR-V」のタイヤサイズは235/60R18。「フォレスター」より3~4cmタイヤの外径(直径)が大きい。
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1971年に登場した初代「レオーネ」。写真はその「エステートバン」で、スバルファンの間では、初めて水平対向エンジン+4WDの駆動システムが採用されたクルマとして知られている。
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疲れにくい、運転しやすい設計を通して事故のリスクを減らす“0次安全”の一環として、運転席からの視界のよさを重視するスバル。その伝統は現行型「フォレスター」にも受け継がれている。
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明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

さまざまな自動車のデザインにおいて辣腕を振るう、現役のカーデザイナー。理想のデザインのクルマは「ポルシェ911(901型)」。

永福ランプ(えいふく らんぷ)
大乗フェラーリ教の教祖にして、今日の自動車デザインに心を痛める憂国の士。その美を最も愛するクルマは「フェラーリ328」。

webCGほった(うぇぶしーじー ほった)
当連載の茶々入れ&編集担当。デザインに関してはとんと疎いが、とりあえず憧れのクルマは「シェルビー・コブラ デイトナクーペ」。

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