そもそも電気を選ぶ必要がない?

ハーレーダビッドソンの狙いは包括的で、既存のモデルにないスタイルと装備によって、新しいユーザーを取り込むことがまずひとつ。そしてもうひとつは、すでにハーレーダビッドソンを所有しているユーザーに対し、気軽に乗れて、なおかつ個性も失わないセカンドバイクとして提案することにある。いずれにしても、成功のカギは価格設定が握ることになるだろう。

では、その動きに追随するメーカーがあるのかといえば極めて少なく、あってもメーカーとしての規模は小さい。KTMなどのメジャーブランドが発表しているモデルはキッズ向けのモトクロッサーにとどまり、まだ模索中といった段階だ。

そんなふうになかなか電動化の波が広がらないのは、ユーザーの嗜好(しこう)によるところが大きい。なぜなら、バイクに乗るという行為は、あくまでも趣味のひと時を過ごすためものだからだ。エンジンの鼓動を楽しみ、ギアを駆使しながらパワーを手なずけ、トラクションを感じながら加速に身を委ねる。多くのライダーはそうやって心を解放するためのツールとしてバイクに乗るのであって、静かで振動がなく、操っている感覚が希薄な割に重く、(少なくとも現状では)航続距離に不安があり、イニシャルコストが高いバイクを選ぶ必然性がないからだ。

そのイメージを変える可能性があるモデルが、先のライブワイヤの他、台湾のキムコが開発した6段ギア付きの「SUPER NEX」だが、こちらもまだコンセプトの域を出ていない。電動スポーツバイクの実力を検証し、その未来を大いに語るにはもう少し待たなければならない。

ハーレーが先鞭(せんべん)をつけることになりそうな“非スクーター型”の電動バイクだが、今のところ追従する動きはあまり見られない。
ハーレーが先鞭(せんべん)をつけることになりそうな“非スクーター型”の電動バイクだが、今のところ追従する動きはあまり見られない。拡大
キムコが2018年のEICMAで発表した「SUPER NEX」。6段トランスミッションを搭載した電動のスーパーバイクで、0-100km/h加速は2.9秒とアナウンスされている。
キムコが2018年のEICMAで発表した「SUPER NEX」。6段トランスミッションを搭載した電動のスーパーバイクで、0-100km/h加速は2.9秒とアナウンスされている。拡大
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