会社の方針に反して勝手に開発

オデッセイは低床なので乗降しやすく、天井が低くても十分なスペースを確保できていた。コラムシフトを採用したことで、前席から後席へのウォークスルーも可能である。ミニバンの利点を享受しながら、運転感覚は従来どおり。過渡期のモデルとしては、理想的な仕上がりだったのだ。

ホンダはオデッセイを先頭に押し立てて、“クリエイティブ・ムーバー戦略”を展開する。「CR-V」「ステップワゴン」「S-MX」をたてつづけに市場に投入し、脱セダンのラインナップを充実させていった。

オデッセイは、会社の方針として開発されていたわけではない。「レジェンド」のV6エンジンを使ったアメリカンミニバンの研究チームはあったが、資金不足もあって解散してしまう。しかし、チームの一員だった浅木泰昭氏は、その後も勝手にミニバンの開発を続けた。V6担当なのに直4エンジンを使ったわけで、組織上は本来なら許されない。おきて破りの行動である。上司が苦言を呈したのは当然だが、無理やり中止させなかったところがホンダらしい。

「クビにはならなかったんですよね。黙認というか、つぶし切らないという風土はありますね。まあ、冷や飯は食いましたけど、覚悟の上ですから」

浅木氏は後にそう語っている。エンジニアとして、ホンダの第2期F1活動にも従事したことのある浅木氏は、レギュレーションの中で最大の成果を求めることを常に要求されていた。オデッセイがさまざまな制約を背負っていたことも、あるいは発奮材料になったのかもしれない。

初代「オデッセイ」のインテリア。「アコード」ゆずりの低いフロア設計により、車高が低くとも十分な車内空間を確保していた。
初代「オデッセイ」のインテリア。「アコード」ゆずりの低いフロア設計により、車高が低くとも十分な車内空間を確保していた。拡大
“クリエイティブ・ムーバー戦略”のもとにリリースされた、5ナンバー箱型ミニバンの初代「ステップワゴン」。当時のこのクラスでは珍しい、FF(ないしFFベースの4WD)の駆動方式を採用していた。同車の成功により、箱型ミニバンでもFFベースのプラットフォームが主流となっていった。
“クリエイティブ・ムーバー戦略”のもとにリリースされた、5ナンバー箱型ミニバンの初代「ステップワゴン」。当時のこのクラスでは珍しい、FF(ないしFFベースの4WD)の駆動方式を採用していた。同車の成功により、箱型ミニバンでもFFベースのプラットフォームが主流となっていった。拡大
「オデッセイ」の開発を担った浅木泰昭氏。ホンダの第2期F1活動にも携わってきた人物で、市販車としてはオデッセイのほかにも、ホンダにとって起死回生の軽乗用車となった初代「N-BOX」や「N-ONE」の開発も主導した。現在(2018年)はホンダF1活動のパワーユニット開発責任者に就任している。
「オデッセイ」の開発を担った浅木泰昭氏。ホンダの第2期F1活動にも携わってきた人物で、市販車としてはオデッセイのほかにも、ホンダにとって起死回生の軽乗用車となった初代「N-BOX」や「N-ONE」の開発も主導した。現在(2018年)はホンダF1活動のパワーユニット開発責任者に就任している。拡大
あなたにおすすめの記事
関連記事
ホームへ戻る