バリエーションを広げた日本のミニバン

「ホンダはスポーツカーを諦め、ミニバンメーカーになってしまった」
そんなふうに言われた時期もあった。しかし、ミニバンという新たな世界を切り開くのは、ホンダにとってスポーツカーと同様のエキサイティングな挑戦だったのだ。

オデッセイのヒット以降、日本のミニバンはバリエーションを広げていく。進化の方向性は、本家とはかけ離れたものだった。2000年にホンダは5ナンバー枠に収まる「ストリーム」を発売し、コンパクトサイズの7人乗りミニバンという新たなジャンルを作り出す。トヨタの「タウンエース ノア」はFFの新シャシーを得て「ノア/ヴォクシー」に生まれ変わり、良質な乗り心地と運動性能を手に入れた。「日産エルグランド」「トヨタ・アルファード」といった大きくて豪華な上級ミニバンも人気を博す。

軽自動車の世界でも「スズキ・ワゴンR」や「ダイハツ・ムーヴ」などのハイトワゴンが主流となり、“ミニ・ミニバン”ともいうべきジャンルを作り出した。日本のファミリーカーの主流はミニバンとなったのだから、セダンの運転感覚を基準にする必要は失われた。広さと便利さに慣れたユーザーは、もう元には戻れない。

この25年の間に自動車の技術は飛躍的な発展を遂げ、背の高いミニバンでも十分な運動性能をもつようになった。もう、過渡期のミニバンは役割を終えたのかもしれない。それでも、日本のミニバン文化の発展と隆盛の発火点となったのは、間違いなくオデッセイだったのだ。

(文=webCG/イラスト=日野浦 剛)

5ナンバー枠に収まるコンパクトなロールーフミニバンとして登場した「ホンダ・ストリーム」。軽快な走りと取り回しのしやすさが特徴で、多くのフォロワーを生んだ。
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日産のミドルクラス箱型ミニバン「セレナ」。このクラスは、トヨタが「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」の3兄弟を、ホンダが「ステップワゴン」を投入する、ミニバン市場の最激戦区となっている。
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1997年に登場した「日産キャラバン/ホーミー エルグランド」が切り開いた高級ミニバン市場だが、今ではトヨタの「アルファード」(写真)と「ヴェルファイア」の独壇場となっている。
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