三菱デリカD:5プロトタイプ(4WD/8AT)/デリカD:5アーバンギア プロトタイプ(4WD/8AT)
わが道を行くための“顔” 2018.12.17 試乗記 目にした人が衝撃を受けるほどの大規模なフェイスリフトで、一躍“時のクルマ”となっている「三菱デリカD:5」。まさにつかみはOKという状況だが、肝心の中身の進化はどうなのか!? オンロードとラフロードで、その出来栄えを確かめた。9割ほどが“否”の反応
<新たなフロントマスクについては三菱のスタッフも「賛否両論あることは承知しております」とのこと>
三菱自動車の新たな研究開発設備を紹介する先日のエッセイで、デリカD:5の写真に添えられていたキャプションである。賛否両論という四文字熟語が意味するのは“賛成と反対が拮抗(きっこう)して議論がまとまらない状況”だから、この表現は適切ではない。プロトタイプの試乗会で商品概要の説明を行った渡邉玲子さんは、「お寄せいただいた声の9割ほどは“否”のほうですね……」と話していた。
三菱ファンが反発したのはよくわかる。明らかに売れ筋ミニバンに寄せてきているからだ。他メーカーのモデルとは一線を画す唯一無二のフォルムが台無しではないか。エンジニアに話を聞いても、デザインの変化を心から歓迎しているようには感じられなかった。
写真を見た時の驚きは、実車に接しても変わらなかった。前から見ても横から見ても、デリカには見えない。穏健で優しげなイメージは影を潜め、我が強く押し付けがましいキャラへと変身した。ただ、思っていたよりも違和感は持たなかった。ミニバンというものはいかつい顔つきで押し出しが強いものだという“常識”が染み付いている。デリカらしくはないが、ミニバンらしいとは感じてしまった。
新型デリカD:5は「コンセプトの進化と弱点の克服」がテーマなのだという。進化させるべきなのは悪路も苦にしないタフな走行性能を持つオールラウンドミニバンというコンセプトで、克服すべき弱点とは質感の低さと遅れていた先進安全装備である。