Wi-Fiに乗って広い世界へ

前作から6年たってもヴァネロペたちは元気にゲームキャラの仕事に励んでいた。いつまでも同じ生活が続くように思えたが、事件が発生する。「シュガー・ラッシュ」のゲーム機が壊れたのだ。ハンドルが取れてしまい、もう遊ぶことができない。古い機械だから修理用のパーツが供給されなくなっていて、デッドストックを買おうとするとべらぼうな高値だ。とても採算に合わないので、ゲーム機ごと廃棄処分にするしかない。

絶望的な状況だが、チャンスが訪れる。店にWi-Fiを飛ばす装置が取り付けられたのだ。これまではゲーセンの中だけで暮らしてきたが、ネットにつながれば広い世界に飛び出すことができる。ヴァネロペとラルフは高速光回線に乗って巨大都市へとやって来た。高層ビルが乱立し、ハイウェイを絶え間なく情報が行き交っている。

ネットの世界をアニメの舞台に移し替えたわけだ。これは簡単なことではない。映画には、どう演出してもダサくなってしまうシーンがある。ダンス、セックス、そしてネットだ。カッコよく見せようとすればするほど、痛ましくていたたまれない映像ができあがる。

最近は特にネットを描くシーンでガッカリすることが多い。野木亜紀子脚本のNHKドラマ『フェイクニュース』はいい作品だったが、リツイートでデマが広がっていく様子を視覚化するところは凡庸な演出だった。もっとひどかったのが今年2月に公開された日本映画。女性を監禁している様子をネット中継すると画面に「キタコレしちゃえよ!」などというコメントが流れるというあり得ない安っぽさに辟易(へきえき)した。今年のワーストである。

10月に公開された映画『サーチ/search』は逆転の発想で難関をクリアした。全編をPC画面で構成するという驚くべき手法を使ったのだ。現実世界は直接的には描かれずネットだけが作品世界となるのだから、ダサくなりようがない。

(C)2018 Disney. All Rights Reserved.
(C)2018 Disney. All Rights Reserved.拡大
 
第185回:ゲーセンから飛び出したお菓子レーサーの運命は?『シュガー・ラッシュ:オンライン』の画像拡大
 
第185回:ゲーセンから飛び出したお菓子レーサーの運命は?『シュガー・ラッシュ:オンライン』の画像拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

あなたにおすすめの記事
新着記事