メルセデス・ベンツ CLS350 ブルーエフィシェンシー(FR/7AT)【試乗記】
マッチョになった理由 2011.07.03 試乗記 メルセデス・ベンツ CLS350 ブルーエフィシェンシー(FR/7AT)……949万5000円
新しいスタイルに生まれ変わった「CLS」の3.5リッターモデルに試乗。個性派4ドアクーペはどんな進化をとげたのか。
正しいモデルチェンジ
6年ぶりのフルモデルチェンジを果たした「メルセデス・ベンツCLS」、ずいぶんマッチョになった印象だ。スリーポインテッドスターのクルマにしては異例なほど(!?)小じゃれた雰囲気を漂わせていた初代から一転、いかにも肉食なジャーマンカーとして再登場した。いちクルマ好きとしては、一抹の寂しさも感じるけれど、ビジネス的には正しい変化をしたと思う。
先代は、4ドアクーペというニッチな市場を開拓すべく、それでも比較的「読める」ジャガーのマーケットを蚕食(さんしょく)して、みごとなスマッシュヒットとなった。ニューCLSは?
いわゆる高級車のカテゴリーを見まわしてみると、価格帯も性格も幅広いが、いつのまにか個性派4ドアモデルが花盛り。懐に余裕がある人にとって、昨今の“人とは違う”4ドアブームの火付け役たる「マセラティ・クワトロポルテ」はもとより、伝統から離れたかに見える「ジャガーXJ」もオルタナティブとして悪くない。「アウディA7」はCLSと真っ正面からあたり、「ポルシェ・パナメーラ」も対抗車種となろう。アカデミックな分類では外れるが、「BMW X6」あたりも選択の範疇(はんちゅう)に入りそうだし、はたまた「アストン・マーティン ラピード」を、首を長くして待っている人もいそうだ。
指名買いが圧倒的なスポーツカーと異なり、この手のクルマを求めるお客さまは、時代の流れと世の気分のまま、ブランドの垣根を易々と越え、一般的なクルマ好きからはちょっと想像しにくい買い換えや比較検討をすることも多いと聞く。トレンドセッターとなったメルセデスのCLSも、安閑としていられない。
もうひとつ、新しいCLSが男性的なスタイルとなった理由がある。