アルピーヌA110リネージ(MR/7AT)
絶妙のさじ加減 2019.01.05 試乗記 これぞフランス車と思わせる、しなやかな乗り心地。そして、思わずワインディングロードに行きたくなる軽快な身のこなし。復活した「アルピーヌA110」は、ポルシェやロータスとはひと味違うドライビングプレジャーに満ちていた。販売計画は野心的
新型アルピーヌは2018年12月7日に国内でカタログモデルが正式発売となった。いかんせん少量生産なので、しばらくはそれなりに待たされるケースもあろうが、先行限定車「プルミエールエディション」のときのように抽選に応募する必要はない。全国のアルピーヌ正規ディーラー(2018年12月現在で14カ所)で注文を受けつけるという。
ちなみに、アルピーヌがどれくらい“少量”なのかというと、現時点での仏ディエップ工場での生産能力は年間6000台だそうである。これがどの程度の規模なのかは、競合各車の昨2017年実績が参考になるだろう。
たとえば、クラスのベンチマークというべき「ポルシェ・ボクスター/ケイマン」は合計で約2万5000台が売れた。「アウディTT」はそれより価格がグンと手頃だが、台数はわずかに及ばず、約2万2000台。先ごろ新型が出たばかりの「BMW Z4」の昨年実績は参考にならないが、先代はピーク時で年間2万台弱、後半安定期で同じく1万台未満といったところだ。これらの数字を見ると、スポーツカー業界でのポルシェがいかにメジャーなのかを実感しつつ、同時に新型Z4がトヨタとの協業を選んだ事情(=台数確保?)も透けて見える気がする。
非ドイツ勢になると、さらに台数は一気に減る。ブランドイメージに加えてスペックや価格でも新型A110に近い「アルファロメオ4C」の昨年のグローバル販売は約1500台。英国のロータスは全体で約1600台だった。
というわけで、アルピーヌが想定する事業規模はポルシェと比較するとずいぶん控えめだが、今のところ彼らに世界最大のスポーツカー消費市場である北米での販売計画がないことを考えると、かなり野心的ともいえる。今回あげた競合各車は、ドイツ勢はもちろん4Cやロータスも北米で販売している。あるいは、アルピーヌの今後の展開にはなにかしらの驚きがあるのか……と期待もしてしまう。いずれにせよ、スポーツカー業界における年間6000台とはそういう数字なのだ。
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