「選考」の重みを考えるべき

関係するジャーナリストや団体、メディアは、比較対象に挙げられては気分が悪いかもしれないが、四輪とその技術の周知を目的にした組織に「日本カー・オブ・ザ・イヤー」(以下、COTY)がある。選考委員は接待漬けや忖度(そんたく)の象徴のように揶揄(やゆ)されることが少なくないものの、その実施規約や選考方法、個人の配点結果はすべてが明確にされている。選考委員になるということは、その賞の元ですべてがさらされるに等しい。相応の覚悟の上で臨んでいるに違いなく、それと同質の重さをBOTYの面々が感じているとは思えないのだ。

設立されて40年近くが経過するCOTYでも、いまだに改善すべき点はあると聞く。例えば先ごろ発表された2018-2019年の賞において、スズキは最初から、スバルは10ベストカーにノミネートされた時点で実行委員会に賞の辞退を申し入れている。

その前に発覚していた燃費と排ガス試験における不正がその理由ゆえ、結果的に実行委員会はそれを受け入れたのだが、本来そこにメーカー側の意向が先回りして介在するのはおかしい。ノミネートするかどうか、不正があったのならその内容はどうだったのか、それを踏まえた上で賞を授与するかどうか。それらはすべてCOTY側の判断に委ねられるべきであり、今回のような事前のやり取りは、ことと次第によってはなんらかの忖度につながりかねないからだ。

おそらくこの一件は、今後実行委員や選考委員の間で論議されるだろう。十分な歴史を持つCOTYでさえそうなのだから、設立されて3年目、BOTYに関しては1回目を終えたばかりの団体に改善すべき点があるのは当然だ。

とはいえ、その不透明さはバイク界全体の信頼性にかかわる。政治家や行政関係者の肩書がダメなわけではない。バイクを愛し、十分な知見があり、それを基にした信頼に足り得る情報を、同じくバイクを愛するユーザーに堂々と伝えられているかどうか。BOTYに限らず、なにかを発信しようとするなら、その志と姿勢を忘れてはいけない。

(文=伊丹孝裕/写真=荒川正幸、三浦孝明、ヤマハ発動機、スズキ、ドゥカティ、webCG/編集=関 顕也)

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